オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
教室へ戻る途中、窓の外の景色に目を奪われる。
からっと晴れた空に綿みたいな雲。
紫外線の下になんて好き好んで出たくないって思っていたけど、そこに大地くんがいるなら、今すぐ飛んでいきたい気分。
「あ、美香。おかえり」
「ただいま」
「どこいってたの」
「マキノのとこ」
「そっか。大丈夫だった?」
「……アイツの準備室。散らかりすぎ」
「荒れてるねえ。片付けに行ってやるか」
「若菜のタイプだったりする?」
「まさか。ただの暇潰し」
「ふーん」
「美香、このところ付き合い悪いし」
合コンも、ナンパ待ちも、やめた。
「ほんとに結婚しちゃったりしてね。あんたと大地くん」
「だからするんだってば」
「てか。もうすぐ美香、誕生日じゃん」
「うん」
「18じゃん?」
「それ」
「待ってましたーって感じ? それとも卒業までは、おあずけかな」
「あたしは、いつでもいいんだけど。たぶん卒業するまでは。……ない」
「いつまで我慢できるかな」
「あたしが?」
「2人が」
今日も空は青い。
【END】