オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
まあ、考えていそうなことくらいわかる。
俺のためであり、この店のため。
自信過剰で甘えん坊。
なのに恩着せがましいことは口にしない。
自分が好きでやっていると楽しげに話す。
それを俺は止める権利もない。
ときどき、怖くなる。
美香の人生が俺で染まってくのが。
そうさせているのは――他でもなく俺なのだが。
「うしろ向け」
「えー、なんで」
「いいから」
「大地くんのカオみたいのに」
「目つむれ」
「……なに。心理テスト?」
我ながら、捻りのない、ベタなサプライズだと思う。
「あけろ」
つまんねーかな。こういうの。
「えっ」
美香の首にネックレスをつけた。
今日が18の誕生日だからだ。