オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 うつむきがちな目でネックレスを確認したあと、潤んだ瞳で俺のこと見上げてくる。

「ありがと。一生の宝物にする!」

 自惚れでもなんでもなく、コイツは俺がなにを渡してもこう言ってくれる気がした。

 前に石ころでも嬉しい、なんて言っていたが。あれは強ち冗談でもないらしい。

「あたし、聞いたことあるんだよね」
「なにを」
「男が女にネックレス贈る意味」

 なんだそれ。

「へえ」

 意味、か。
 そんなもん大半は下心で、あとは、喜んでもらいたいからだろ。
 他になんかあんのかね。

「たしか。『相手の無事を祈る』と。『いつも僕を思い出して』」

 当たってんなオイ。

 俺のことばかり考えるなと口では言っても、俺に染まってく美香が、愛おしい。

「あと」

 まだあんの?

「『僕のもの』……だったはず」
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