オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
ああ――、止まらない。
「気づいてるんでしょ、あたしの気持ち。まわりくどくフることが優しさだと思ってるなら大間違いだよ。ハッキリ言ってよ。ガキにはキョーミないって。あたしがタイプじゃないって。ていうか、もう会う気ないのに。仲良くするつもりないのに買わなくていいし」
バッグから、お土産袋を取り出す。
中に入っているのは、さっき買ってもらったボールペンだ。
「こんなの。見るたびに今日のこと、思いだしちゃう。宝物にして。舞い上がっちゃう。今でも毎日考えてるのに、余計に大地くんのこと考えて。もっともっと、好きになっちゃ……」
ハッとして大地くんを見上げると
大地くんは、大きく目を見開いていた。
「ああもう。さいあく!」
ボールペンを大地くんに投げつけ、背を向け歩き出す。
なんでこんなに、好きなんだろう。
意味わかんない。
こんな形で告白するつもり、なかった。
最悪のタイミング。
タクシー拾って帰ろう。そうしよう。
「美香さん」
「追いかけて来ないで!」
「話の途中です」
「もう話すことない」
「自分は、あります」
「聞かなくてもわかる」
あたし、いよいよふられるんだよね。
もう、いいよ。もういい。
帰って泣くから。一人にして。