オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
なに、いきなりヤる気だしてんの。
「あたし。帰りたいんだけど」
「自ら口にした言葉に責任を持ったらどうですか」
「セキニン……って」
「散々煽っておいて、冗談でした――なんて。これまでがどうであれ。この先、通用しないと思っておいた方がいい」
これ以上、苦しい想いをしたくない。
傷つきたくない。
「本当に帰りたいなら。助けて、と。叫んでもいいんですよ」
だけど帰りたくなんて、ないよ。
「この手を離して欲しいですか」
いやだ。
「今すぐ。離しましょうか」
「……っ、いや!」
――――愛されたい
初めて心から好きになれた人に、あたしのこと、見て欲しい。
「離しちゃ。やだぁ」
もっと大地くんと一緒にいたい。
大地くんに受け入れられたい。
あたしのこと求めて欲しい。
本気が無理なら形だけでも、いい。
大地くんとなら。
一回限りでも大地くんに女の子としてみてもらえるなら、それでもいいよ。
最後に、思い出ちょうだい。