オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
「あたし。……覚悟決めたのに」
二人きりの意味が、ちがう。
「覚悟?」
「なんでもない!」
二人きりっていったら、ここじゃないでしょ。常識的に考えて。
もっと周りの目を気にせずにイチャイチャできるとこに決まってるじゃん。
こんな……こんな子供だまし。
たかが観覧車であたしの機嫌をとろうなんて――
「どのくらい高くなるの?」
「100メートルはあるんじゃないっすか」
ひゃくめーとる!?
「すごい。どんどん上がってる」
「そういうものですからね」
落ちないの? これ……大丈夫?
なんか揺れてるんだけど。風強いから?
「案外スピード遅いんだね」
一周まわるのに、どのくらいかかるんだろう。
「観覧車に乗ったことは?」
「ないよ」