オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 お土産袋を見せられる。
 あたしが投げつけたボールペン、拾ってくれてたんだ。

「君が子供っぽく笑うところを見て、安心した」

 ……安心?

「外見は大人びて見えても。年相応なんだなと」

 あたしがガキっぽいと、大地くんは、安心するの?

「軽率なことをした。そんなに苦しめるなんて考えもしなかった」

 あたしは大地くんの些細な言葉にバカみたいに一喜一憂させられるんだよ。

「いや。……わかっていたのかもしれない」

 わかっていた?

「頭では距離をとろうと。君が離れていくのを待っていたはずなのに。どこかで、繋ぎ止めようとしていた」

 なにを言っているの。

「これは。こちらで処分しておいた方がいいか」

 なんでそんなこと、聞くの。

「また。あたしに選択させるの?」

 欲しがっても、イラナイって言っても、自己責任?
 そこに大地くんの意志はないの?

 あたしには言ったことの責任をとれって言いながら自分は逃げるの?

「こっちから離れようとしたら、引き止めて。だけど選ぶのは、あたし? ズルくない?」
「そうだな。卑怯なことをしていると思う」
「なにがしたいの? あたしのこと、からかって楽しんでる? そういうヘンタイ?」

 意味不明。最初から。

「どうしてあたし。あんたなんか」

 好きになっちゃったんだろう。

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