オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
「もしかして。説教しに来た?」
なんにも知らないあたしが滑稽だった?
バカなあたしに同情した?
見ていて危ないから気にかけて繋ぎ止めようとした?
「かもな」
「余計なお世話。あたしがどんな目にあおうが、あたしの自業自得でしょ」
保護者でもないのに口を挟まないで。
「そっか。奥さんいるんだ。なのに裏では子供でもおかしくない年の女の子と戯れてるとか。……笑える」
「強がらなくていい」
「別に。あたしだって年を誤魔化して甘い汁を吸ってた。被害者ぶったりしないよ」
大地くんは警察じゃないから、クズなオトナを捕まえる義務も非行少女を保護する義務もない。
「大地くんが守るのは、愛されてない少女じゃない。この国でしょ」
これ以上あたしにかまわなくて、いいよ。