オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
――恋が、長続きしない。
そもそもに、恋をしていたのかも、今となってはわからない。
最初は素敵に思えた男は、会うたびに嫌なところが目についてすぐに熱が冷めてしまうし。
数回デートしたら新鮮味がなくなって飽きる。
一度は憧れたスーツを着た社会人も、顔の広いセレブも、社会的地位の高い先生と呼ばれる男も、思い出すとたいして魅力的に思えない。
かと言って、身近な男はガキだし。
若菜の言う通り、ああいう奥手そうなひとは眼中になかったのに。
どうしてこんなに気になっちゃうかな。
「今日はありがと、ってメールしたけど返事こない」
「恋人いるんじゃない? それか既婚者で。ああ、だから門限あるんだ。こわ~い鬼嫁が待ってるから急いで帰った」
「そうは見えなかった」
服のセンス、ビミョーだったもん。
奥さんいたらさすがにツッコミ入ると思うなあ……?
「わかんないよー。人は見た目によらないんだから」
ただし、着飾ったら絶対カッコよくなるタイプ。
すごくクールで笑ってるとこ想像できないが、一体どんな人なんだろう。
「……育ててみたい」
「え?」
「改造したらイケメンになる気がする」
「カイハツする気? マザコンくんを?」
勝手にマザコンにするな。
「また会いたいな」