オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
「猫被ってたの?」
「退屈な男だと知れば。離れてくと思ったんだがな」
「そういえば初対面のときダサかったよね。ドウテーっぽかった」
「そう思うなら連絡先聞くなよ」
「聞いてよかった」
「逆効果だったか」
無理。カッコいい。反則。
「堅物な大地くんのこと。改造してやろつと思ったのに」
元からイケメンとか、ズルい。
「寝言は寝ていえ」
「ウソつきオオカミ」
「上等だ」
気づけば観覧車がまもなく一周するという位置まできている。
「いつの間に頂上すぎたの?」
「今更だな」
「てっぺんからの景色見たかった。もう一周したい」
「もういいだろ」
「えー、しようよ」
「このままここにいたら喰われちまいそうだ」
人のこと肉食動物見たいに言うな。
「もっと乗りたいならチケット買い直すの?」
「そうなるな。混んできたから並ばねえと」
「え~。チップ握らせてショートカットしちゃお? ダメ?」
「やめろ」
「こうしていたいんだもん」
ぎゅうっと大地くんに抱きつく力を強める。