オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
#04 外泊許可
#04 外泊許可
「すごい記録でたね」
ゲームセンターでパンチングマシーンが壊れるんじゃないかってくらい強烈なパンチを見た。
「もしかして格闘技してた?」
「少しな」
「ボクシング?」
「空手」
ずば抜けた記録を叩き込んだ大地くん。
「あ゛ーっ!」
「かわれ」
「やだ。絶対とる!」
一方、クレーンゲームの神様に味方してもらえない、あたし。
「ねえわ。そんなぬいぐるみごときに……一万は」
「えー。かわいいじゃん」
ゲットしたのは、ホッキョクグマ。
全然とれなくて最後は店員さんに獲得しやすい位置まで動かしてもらった。
「買った方が安いだろ」
「ゲットするまでの楽しみが醍醐味でしょ~。すぐにとれたらつまんない」
「にしても下手くそすぎるだろ」
「いいよ。あたしが出すから」
「いらね」
大地くんはデート代を全額負担してくれた。
年上の意地なのだろうか。
にしても気になるのは、よすぎる体格。
「腹筋割れてる?」
「まあ」
「ふーん。みたいなぁ」
敬語が抜けて一人称が"俺"になった大地くん。距離が一気に近づいた気がする
「見・た・い・な!」
「いつかな」
「……っ」
いつか、が待ち遠しくてたまらない。