オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
 それからあたしは、彼に、積極的にメールを書いた。

『学生?』
 いいえ。

『働いてる?』
 はい。

『どんな仕事してるの』
 公務員です。

『じゃあ土日が休みだったり?』
 そうですね。例外もあります。

『今日なにしてた?』
 穴掘ってました。

 ――――穴?

「建設業?……いやでも公務員って言ってたな」

 メールの返事は、毎日は、来なかった。
 二、三日後にようやく届いたと思ったら一行だけだし、内容も意味不明だし。


『電話しよーよ』
 しばらく圏外にいるので、できません。


「圏外ってなに? そんな場所が存在するの? からかわれてる!?」
「美香、わかったよ。彼、陸自だわ」

 ある昼休み、若菜があたしにニュースを持ってきた。

「リクジ?」
「防衛省の職員だから、特別職国家公務員。それなら門限も説明がつく。独身の自衛官は基本的に寮に住んでるはず」
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