オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
電車から降り、ひとけのない暗がりのホームで乗り換える電車がくるのを待つ。
こんな駅、知らない。
「大地くんといて楽しいの。あたしだけな気がしてきた」
「忙しいやつだな。自信過剰かと思えば、いきなり悲観的になりやがる」
「だって」
結局同情なのかなって。
本気なのは、あたしだけ。
「ちょっとくらい思ってる? あたしのこと、かわいいなーって」
「ご想像にお任せします」
「ずるい、よ」
「狡くて結構」
「大地くんの卑怯者」
「いなくなられたら困るからな」
「……っ」
大地くんは、見えない鎖を繋ぐのが上手だ。
そんなこと言われたら絶対よそ見できない。
「青臭い大地くんは。女が寄ってこないように、先輩持ち上げる合コンにはダセェ服を着てくんだ」
「あは。それで、あのセンス?」
本当はお洒落だし、いいものを見極める目だって持ってるよね。
なのに初対面の大地くんは女の子と付き合ったことなさそうな男の子だった。