オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
 あたしが避けられてるわけじゃ、ない?

「ほんと?」
「ただ。……まあ」

 歯切れが悪そうな若菜。

「なに。言いたいことあるなら言ってよ」
「相手、25っしょ」
「それが?」
「これ以上、近づくのは。難しいかもねえ」
「なにいってるの。あたしが何人の大人と付き合ってきたか知ってるはずだよ」
「知ってるとも。医者に弁護士、それからモデル。女子高生にして誰もが羨むハイスペックを、あんたは虜にしてきた」
「あたしに不可能は、ない」

 やりたいことはやりたいし。
 欲しいものは、欲しいのだ。
 たとえどんな手を使っても。
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