オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 お酒を飲んでいた大地くんが、ゴホッと蒸せる。

「なんでわかったんですか!」
「んー? だって。とっくに手を出してるなら、うちじゃなくてホテルにでも泊まるでしょ」

 見透かされている。
 というよりは、大地くんのことよくわかってる。

「キスくらいって思うんですけど。半径二メートル以内に近づくなとか言うんです」
「なにチクってんだ」
「それはヒドいね~?」
「ですよね!」
「おい。お前らだけで盛り上がるな」

 いいな、仲良し。
 あたしも海月さんみたいな、気さくで優しいお姉さんが身近にいたらなあ。

「仮に大地がミカちゃんのこと好き放題するような男なら、私は今頃、殴ってるだろうけどね?」

 海月さん、案外おっかない。

「言ってあげなさいよー。好きなクセに」
「うっせ」
「まあね。言えば止まらなくなるもんね? こんな可愛い子、どこで引っかけたんだか」

 言えば止まらなくなる……?
 じゃあ、強引に言わせたら、止めどなく愛してもらえると?

「お前。今、よからぬこと考えてないか」
「え。なんのことかな」
「目が泳いでるぞ」

 さっさと既成事実作りたい。
 とか思ってないよ。たぶん。
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