オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
「これまでの男は、あんた年齢誤魔化して会ってたでしょ」
「それならあたし大地くんに実年齢言ってないし平気だよ」
「もうバレてるから」
「え?」
「ニュース見なよ」
若菜から、スマホ画面を見せられる。
そこにはあの日の引ったくりに関する記事が載っていた。
「ここに全部書いてある。あんたを助けたのが陸上自衛隊所属の男だってことも。それから、被害者が高校生ってこともね」
「さいあく。プライバシーの侵害」
「このくらい出るでしょ」
「だから大地くん、あたしを拒絶してんの?」
「拒絶っていうか。まともな大人なら、適度な距離を保つものだよ」
「高校生とは恋愛できない?」
「そうだなー。卒業するまでは、どうにもならないかもね。まあ。その頃には、美香の熱もすっかり冷めてるだろうけど――」
「会うくらい平気だよね」
「え?」
「健全に過ごすならなんにも問題ないよね。そんな中で愛が芽生えたら誰にも止める権利ないよね」
「……マジ?」
「決めた。あたし、大地くんとデートする」