オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
「んなことしてみろ。海月に殺される」
周りの目がなければ、いいの?
大地くんのバリアが、ほんのちょっとだけ薄くなったような気がする。
「絶対なにもしないから。ただ、となりにいてくれるだけでいい」
「それは拷問というやつですよ美香さん」
あたしのこと、少しは意識してくれてるのかな。全然そんな風に見えないけど。
「厳しい訓練だと思ってさ」
「いまだかつて。そんな窮地に立ったことねえです」
「またまた」
「寝ろ」
「いたっ」
デコピンをされる。
「ほらよ」
ホッキョクグマのぬいぐるみを渡される。
「この子を大地くんだと思って抱きしめて眠る」
「お休み」
甘い囁きはまだまだ聞けそうにない。