オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 寝起きを襲ってやろうと思ったのに、あたしが起きた頃にはランニングしてシャワー浴びて、ごはん作り終わってた。

「ところで。そのバカでかいシロクマに、そろそろツッコミ入れていい?」
「ホッキョクグマだよ。あたしがゲットしたの」

 うちに置いてくるのが嫌で学校に持ってきた。

「美香が?」
「ゲーセンで一万かけたらさ。大地くんに無駄づかいだって怒られた。いいよね。楽しければこのくらい」
「案外、お似合いなのかも」
「へ?」
「美香の歪みきった感覚をまともにしてくれるんじゃないの。彼なら」
「そんなにあたしってズレてる?」
「ズレてるよぉ」
「……そう? 若菜から見ても?」
「たとえば、あんたがよく飲んでるいちごオレ。そのへんで買えないよね」
「うちから持ってきてるけど。それがなに」
「スーパーだと100円くらいで買えるからね」
「ゼロひとつ足りなくない?」
「そういうとこ」
「なんで若菜はスーパーに売られてるものの値段なんて知ってるの」
「そりゃあ。買い物に行くから」

 ……かいもの?

「スーパーに? 若菜が?」
「あんたは想像できないかもしれないけど。かご持って、その日のお買い得商品を入れたり。食べたいものを頭に浮かべながら食材を選ぶの」
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