オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。

 テスト期間を終え、冬休みに突入した。


「こう、ですか」
「そうそう。上手だよ、美香ちゃん」

 あたしは、泊まり込みで海月さんのお店をお手伝いをさせてもらっている。

 仕込みの時間から厨房に立てば、お米をといだりジャガイモの皮を剥いたりできるのだ。

「だけど。お嬢様にこんなことさせていいのかなあ」
「いいんです。社会勉強です」

 花嫁修業です。

「働き者で助かる。手際いいよね、練習してきた?」
「はい。少しだけ」

 包丁さえ握ったことなかった。
 暇な時間ずっと料理習ってたなんて言えないよね。

「ネイル。とっちゃったんだ?」
「あ、はい」
「このまえ見たときは。キラキラしてたのにね」
「さすがにあの爪では。お店に立てないですよね」
「美香ちゃんてさ。大地には甘えるけど、私には甘えないよね。いつもそうなの?」
「……え?」
「そういうとこ。大地は、グッときちゃったのかな」
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