君に、約束の幸福を捧げるまで

6月26日。あの日は、何をしてたんだったか。

────土曜日は学校も無いはず……。

────思い出せない……。


自分が死んだことは分かっているのに、なぜ死んだのかを思い出そうとすると靄がかかったように記憶が途切れてしまう。


そんな傍ら、意外に冷静なものだな、と雅和は思う。

死んでしまってはどうしようもないわけで、だからと言って特にやりたいことも無い。

だが、やりたいことがあるかどうか関係無しに、今後どうすれば良いのかについては戸惑うばかりである。

────さて、どうしたものか。

天国というのがあるなら是非とも行きたいところだが、なんせ行き方が分からない。

──適当に歩いてたら着くか?

──飛ぶ?

そんな、右も左も分からない状態の雅和に声を掛けてきた者がいた。





『降矢雅和だね?』
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