わかりきったことだけを、





「……時に志葉くん、質疑応答の時間を頂けますか」

「時に浅岡さん、それは俺の渾身の告白を差し置いてどうしても言いたいことですか」

「あーうんうん、そう。どうしても言いたいこと」

「適当に言ってんだろ絶対」




はぁ…とため息をついた彼は、「いいよ、なに?」と言って私と同じように頬杖を付いた。


黒髪にサラサラの短髪。低すぎない柔らかな声。
袖が捲られた白いワイシャツ。整った顔。


あー…。志葉って噂されるだけあってかっこいいんだなぁ。


そんなことを思いながら、私はひとつ、彼に質問をした。




「志葉、偶然と運命は紙一重って知ってる?」

「…はあ?」

「志葉が私に恋をすることは、志葉の運命に値するのかな」




だから私は変だなんだと噂されるのかもしれないな、と言葉にした後に思った。


< 10 / 220 >

この作品をシェア

pagetop