わかりきったことだけを、






『浅岡さんのどこが好きなの?』
『内緒』

『浅岡さんって変わってるよねぇ。不思議』
『うん、めちゃくちゃ。けどかわいーよ』

『ベタ惚れだ』
『そーかも』

『ミステリアスな志葉くんは無駄美人のものかぁ…残念』
『ふ、そーだね』

『ねえ、頭にゴミついてる』
『え?』
『とってあげーーー』
『え。勝手に触んないで、そういうの浅岡以外で受け付けてない』






「照れてたとしたら、……姫宮が浅岡のこと'無駄美人'って言った時だよ」

「え?」

「俺は浅岡の全部知ってるけどね、って思ってた。俺だけか‪ー思ったらなんかにやけてきて」

「……意味わかんない」

「耳、すぐ赤くなるの 知ってるでしょ浅岡」




知ってる、知ってた。
そうだ、志葉はそういう人だ。

志葉は私が不安に思ってるようなことを事実にしたりしない。不安になるのは全部私の気持ちの問題で、それでいてそんな感情はあっという間に取り除いてくれるのが志葉。

正直、素直、重い愛。



「ね。どうしたら許してくれる?」



許すも何も、なんだかバカらしくなってきてしまった。
こんなにもずっと志葉の世界には'浅岡ゆらの'しか居ないのに、私が不安になる要素なんてどこにも無いのに。



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