わかりきったことだけを、
私とお花畑くんはもちろん、友達と呼べるほど仲がよくなったわけでは決してない。
志葉とは至って良好な恋人同士で、あれ以来喧嘩も特にしていない。
お花畑くんと私が話すことに志葉は何も言わなくなったし、姫宮さんと志葉が話すことに私は何も言わなくなった。
嫉妬なんかする必要がないくらい志葉は私のことが好きだし、私は志葉が好きだということをお互いちゃんと理解しているからだと思う。
他の女の子の存在を気にしてもやもやすることはほとんどなかった。
――それで、だ。
「姫宮さん、隣、志葉がいいからかわってほしい」
「ゆらのちゃんってば、いつになったら名前で呼んでくれるの?」
「…代わって」
「名前呼んでくれたら考える」
「…、弥生ちゃん」
「おっけー、いいよ。志葉くんに譲ってあげる」
志葉と席替えの件で喧嘩したのは後期の始まりのこと。
今はもう、11月も終盤に差し掛かっている。
嫉妬しないとはいえ、危険性が高めの彼女――姫宮さんと私が必用以上に話す機会なんてなかったわけで。
この3か月の間に私と彼女の間に…というか、私たち4人に何があったのかについては、9月後半に行われたロングホームルームまでさかのぼって見てみることにしよう。