わかりきったことだけを、
まあ、私は志葉と同じならなんでもいいんだけど。
志葉と2人で旅行に行きたい気持ちがあるのは確かだけど、高校生というブランドを背負ってないとできないイベントは楽しんでおいて損はない。
お花畑くんは放っておいても一人で喋っているし、たくさんの女の子と遊んできたという経験値のせいか話題提供も上手だなと思う。
もちろん、人の話を聞かない私と違って聞き上手な部分もある。
志葉がいるだけで退屈は絶対にしないけれど、お花畑くんのようににぎやかな人がいたらそれはそれで高校生っぽくて楽しいだろうなあと心の中で思った。
「あと一人、女の子の方が良いよね。浅岡ちゃん的にも」
「や、私は別に…」
「女の子の伝手は一応あるけど、みんな俺のこと好きだから取り合いになっちゃうかなぁ」
「ははは」
「なにその愛想笑い。ホント浅岡ちゃん俺に冷たいよね」
「志葉以外に優しくする理由がないよ」
「うわぁ、ぶれないなぁ。志葉への愛が一途すぎる」
お花畑くん、やっぱり頭の中までお花畑だ。
ナルシストっていうか“お花畑”って感じ。
名前が似合いすぎている。すごい。
「ねえ、あたしが入ってもいい?」
───そんな中。
ふわふわの髪の毛をなびかせた姫宮さんがそう言ってきたのは、本当に急なことだった。