わかりきったことだけを、
10.「泣けるくらいの」






「志葉」

「なに?浅岡」

「…私、留年……」

「え」

「……」

「浅岡、え、まじで?」

「いや、全然回避した」

「あーーーーー…ビビったー…」






今日、全てのテストが返却された。

志葉に教えてもらった数学も、羽瀬くんに教えてもらった英語もしっかりクリア。他の教科も大丈夫だった。


ああ、よかった本当に。
これで私、みんなと3年生になれるんだ。




「ゆらのちゃん、よかったあ!」

「うう、弥生ちゃん…」

「浅岡ちゃんおつかれほんと」

「あ。お花畑くん留年じゃないの?なんで?」

「なんで俺にだけそんな冷たいの?ねえなんで?」



抱き着いてきた弥生ちゃんと、その横で笑うお花畑くん。

自分のことのように喜んでくれる2人を見て、すごく心配させていたんだなぁと、己の頭の悪さを少し恨んだ。




「浅岡、ホントよかった」

「これで3年生も教室でラブラブできるね」

「それはネタにすんなよ…」




志葉が照れたように目を逸らす。

ふ、今日も可愛すぎるね志葉。



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