わかりきったことだけを、
「今日はぱーっとおいしいもの食べようぜ」
「賛成!焼肉とか!」
「肉―!!」
そんな会話をしながら歩く帰り道。
前を歩く弥生ちゃんとお花畑くんがそんな会話をして盛り上がっている。
まさか2人とこんなふうに仲良くなるなんて思わなかった。幼馴染だった2人が恋人同士になれたのも、きっと運命だったのだと思う。
ふとした瞬間に思いだす青春が心地よくて、時々泣きそうになるのだ。
「浅岡」
不意に、ぎゅっと手を握られた。
思わず「え」と声が洩れる。弥生ちゃんとお花畑くんがいるところで手を繋いだことなんてなかったから驚くのも無理はない。
「泣きそう、どうした?」
ああ、そうか。
どうやら心配してくれていたみたいだ。
志葉は本当に私のことをよく見ている。小さな変化にすぐ気づくし、なにもかもお見通しなんだ。
「なんか、皆と出会えてよかったなって思っただけ。ポエマー浅岡だよ」
「なんだそれ。…けど、なんかわかる」
「わかる?」
「…この瞬間が終わってほしくないって思う、毎日」
「ふ。ポエマー志葉だ」
「お互い様」