わかりきったことだけを、
志葉と過ごした夏の放課後も、
4人で行った修学旅行も、
毎回泣きながら頑張った試験勉強も、
―――志葉と手を繋いで歩いた帰り道も、全部。
「うわ、浅岡ちゃんたち手つないでる。破廉恥」
「お花畑うるさい」
「え、ついに呼び捨て?悪意の塊だよ浅岡ちゃん」
「洸太、私たちもつなぐ?」
「えっ」
「あ、花畑照れてる」
「うるせー志葉 お前にだけは言われたくねえ」
「なんでだよ」
時々思い出して泣いてしまいそうなくらい大切で貴重な青春が、私たちによく似合っていた。
わかりきったことだけを、【完】