わかりきったことだけを、
――『浅岡のこと、多分、好きになったかも』
ああもう違う、多分じゃない。
ばか俺、くそ、そうじゃない。
俺、ホントに浅岡のこと好きなんだ。
――『数学できないとことか、理解力ないとことか、頭悪いところとか、』
――…あと、ペンの持ち方が綺麗なところも。
全部含めていいと思った。
浅岡のぜんぶが、俺は、
「…すきなんだ、ホント」
最初からずっと、浅岡だけが圧倒的優勝なんだよ。
「うん、私も」
「好き、」
「うん。私もだってば。好きだよ志葉」
「俺の方が好き」
「競わないでよ。私負ける気ないよ」
「俺もだわばーか」
「バカって言ったほうがバカなんだよ。知らないの?」
「知ってる。だから俺も浅岡もバカ」
今更多くを語らなくたって分かる。
運命と偶然は紙一重。
───俺と浅岡が恋をしたのは、わかりきった運命だ。
fin.