わかりきったことだけを、



「ねえってば」

「…俺もうだめかも」

「はあ?意味わかんないからとりあえずこのコーラ振ってもいい?」

「うん…」



ええ、もう、どうしちゃったの本当に。


コーラ振ったらどうなるかなんて、バカな私ですらわかるのに。曖昧な返事ばかりをする志葉にむかついたので、ペットボトルを大きく1回だけ振っておいた。


ていうか、「もうだめかも」って、突然なに?
意味わからなすぎるんだけど、本当に。



思ってることはちゃんと口に出さなきゃだめなんだよ。素直で直球ですこしダサいのが志葉のいいところで、私が好きなところなのに。



項垂れるように机に突っ伏した志葉。

私の目の前にひろげられたプリントはようやく半分が終わったところなので、志葉がこの調子だと、私はまた松川先生に呼び出しを食らってしまうかもしれない。


志葉のおかげで、授業以外で松川先生と目を合わせる機会は随分と減ったというのに。



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