わかりきったことだけを、
「志葉は志葉じゃん。私は志葉がよくて一緒に居るのに、そんな顔も名前も知らない後輩くんの言うことなんて、影響力なさすぎるよ」
「…でも浅岡、ギャップとか好きそうじゃん」
「志葉にもあるじゃん」
「ねーよ…」
「ある。志葉、顔だけじゃないよ。顔も好きだけど、それよりももっとたくさん好きなところあるよ。今言う?」
「いや、べつに──」
「頭がいいところちょっと変わってるところ私のことで頭がいっぱいなところネクタイ結ぶの下手なところ両手の小指がちょっと短いところ、あと、」
「っいいって浅岡、はずい、それ」
照れるとすぐ耳が赤くなるところも、ミステリアスって騒がれてる志葉のギャップで、私が好きなところなんだよ。
もちろん、見知らぬ1年生が話している内容を聞いてここまで落ち込んでしまうヘタレ具合も、ね。