わかりきったことだけを、
14.「ぜんぶあげるよ」
「眠くなってきた」
「志葉。まだ始まって10分だよ」
「わかった上で眠い。どうしよ」
「ええ」
「浅岡の肩、貸して」
放課後、彼氏の部屋、2人きり。
帰りにレンタルショップで借りた映画を見ていると、トン…と肩に重みを感じた。「落ち着く」と小さく呟いた志葉がそっと目を閉じる。
どうやら本気で寝るつもりらしい。
まあ、全然いいんだけど。
だって、志葉の寝顔ってすごい可愛いから。
「寝てていいよ志葉」
「…悪い」
「全然。寝顔、1000枚くらい写真撮ってネタにするね」
「やめろ」
肩に感じる重みを心地よく思いながら、まだまだ始まったばかりの映画を見る。
見たかったのは恋愛映画。ピュアな青春ものだ。
私も一応女なので、夢が詰まったキュンを欲する時もあるのである。
私の趣味嗜好に沿ったものだから、志葉が眠くなるのも無理はなかった。