わかりきったことだけを、





「浅岡」



向かい合うようにして座り直した志葉が両手を広げた。



「ん」

「なに」

「おいでって言ってる」

「、はぁ?」

「イチャイチャターイム」

「バカじゃないの」

「だって映画観ないんだろ。俺も寝ないし」

「だからって、」

「おいで、浅岡」

「っ」




志葉はもう、ずっとずっと悪い人だ。


私がその声に弱いって知ってる。
私が志葉のこと好きすぎることも知ってる。


だから、ずるい。




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