わかりきったことだけを、






──多分、好きになったかも、

ポリポリと頬を掻く彼の顔はほんのり赤い。視線を逸らし、「…うん、多分、」とまた付け足した。



放課後、2人きりの教室、夏服。

夏の青春三大要素が詰まった条件下でされた告白は、ロマンチックの欠片もない曖昧な告白だった。


ここに至るまでの経緯は、数分前に遡って説明することにしよう。




< 2 / 220 >

この作品をシェア

pagetop