わかりきったことだけを、
テストを1週間後に控えた今日。
今回もまた、バカな彼女の成績を救うべく、俺は浅岡を自分の部屋に招いて勉強を教えていた。
浅岡はどうも俺の部屋が好きらしい。
「志葉の匂いがする」「落ち着く」「マイホーム」とかなんとか。マイホームではないけどね、と思いながらも、ナチュラルにバカ全開の浅岡が愛おしいと思ったりもする。
俺もかなりやばい。末期だ。
「さすが数学成績優秀者だ」
「バカにしてる?」
「とんでもない」
「ねーアイス食べたい。休憩しよ」
「だめ。俺がいつも甘やかすと思うなよ」
「とか言って志葉、アイスを常備してるよね」
そんな会話をして、浅岡の要望通り常備していたアイスを食べて、キリの良いところまで勉強をして。「そろそろかえる?」って浅岡に聞いた時。
「時に志葉くん、ひとつ質問があるんだけど」
───って、浅岡が変なこと言いだした。