わかりきったことだけを、




「浅岡は俺のこと好きなの?」

「分かんない。けど嫌いじゃないよ」

「俺に触れたいの?変態?」

「失敬な。好奇心というやつだよ」

「付き合ったら俺が浅岡に触っても怒んないってこと?」

「ん、まあ、キスまでなら考えてあげてもいいな」

「……あー、そ」

「キスまでしかダメなのかって思った?」

「…逆。キスまでしていいんだ?と思って動揺した」




志葉も男の子なんだなぁ と思った。


好きな子とキスできるのは嬉しいみたいだ。自分で言ったものの私も少しドキドキしてしまう。


彼の恋愛偏差値はどのくらいなんだろう。
このまま付き合うことになったら、志葉はどうやって私に触れてくるんだろう。


知りたい、聞きたい、触れたい。




「なぁ浅岡」

「ん」

「…付き合ったら、もっと俺のこと見てくれる?」



彼の瞳が揺れた。

今のままでも十分私は志葉のことを見ているつもりだったけど、彼はそれじゃ物足りなかったみたいだ。
私のことを'目の保養'にするだけじゃ足りないって言うし、志葉って意外と欲しがりなのかもしれない。



「志葉次第かな」

「俺のこと試す気?」

「そういうことー」

「浅岡のくせに生意気な」

「ねえ、志葉」




​───さて、欲しがりな志葉智咲くんよ。



「私の意識全部、志葉のものにしてみてよ」


< 22 / 220 >

この作品をシェア

pagetop