わかりきったことだけを、




「…私はいつも変だよ。私は変人で無駄美人、知ってるでしょ」

「違う、いつもよりもっと変。なんか……挙動不審?」

「……それは悪口だよ」

「はぁ?てか浅岡、なんか顔赤くない?」




床に片手をついて上半身を乗り出した志葉が、そう言って私の頬に手を伸ばした。



「あつ、」



何してんの、ばか志葉。


触れられたまま動けない。
熱を帯びた瞳に捕らわれる。



「ねえ、ほっぺ熱いよ」

「……、今熱出たの。インフルエンザかも」



手を離した志葉が、またひとつ距離を詰めた。私のバカみたいな嘘に笑って、「大変だなそりゃ」と言葉をこぼす。


そうだよ、大変だよ。
志葉のせいで私の体感温度40度超えだよ。



「…っ、なに」

「なにも」

「志葉、近いっ」

「そ?」

「そっ…、て、」



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