わかりきったことだけを、
4.「良いに決まってる」
「志葉、私いけるかもしれない」
「俺が教えたんだから当たり前だろ」
「赤点取ったら志葉のロマン無くなるもんね」
「お前の夏休みもだろ」
「そうならないために頑張ったんだってばぁ」
試験最終日が明日に迫った今日。
私と志葉は今日も今日とて、愉快にそんな会話をしながら教科書を広げていた。
放課後、3回に1回くらいのペースで志葉の家にお邪魔するようになり、クーラーと麦茶に助けられながら地獄のテスト期間はあっという間に過ぎ去っていった。
4日間にわたるテスト週間は明日で終わり。
最終日は本命の数学がある日だ。
今日までに終えた教科は、不安があるものもあるけれど赤点は免れただろうなー…くらいの手応え。
志葉の家で、志葉に見守られながら延々とテスト範囲の問題を解かされる日々も今日で終わりなんだ。
明日を乗り越えれば、夏休みに入るまではテスト返しと、それからロングホームルームや大掃除が中心になる。
自信さえあればテスト返しなんて怖いもの無しだ。
ハッピーサマーバケーションはもうすぐそこに見えてきている。