わかりきったことだけを、




「あれはそういうんじゃないよ浅岡」

「じゃあどういうのなの…」

「幼なじみ…っつーか、一方的に好かれてて手が付けられないというか」





志葉の話をまとめるとこうだ。




志葉には、一般的には幼なじみと呼ばれる一つ下の女の子がいる。

と言うのも、互いの親同士が知り合い故に小さい頃から知り合いではあるものの、学校が同じになったことは無いし特別なにか思い出があるわけでもないとのこと。


その幼なじみさんは隣町の高校に通っているらしく、この春から高校生になり、同時に私の家の付近に引っ越してきたと言っていた。


彼女はとにかく元気で煩くて騒がしく、小さい頃からずっと志葉のことが好きらしいのだ。

ことある事にくっ付いてきて、要らないスキンシップをしてくるだとかなんとか。


最初のうちは毎回巻きついてくる腕や手を振り払っていたけれど、全然辞めようとしてくれない彼女に愛想をつかし、もう面倒くさくて放置していると言っていた。


私が昨日見た志葉と彼女の姿は、小さい頃から培ってきた彼らのーーというか彼女のデフォルトみたいだ。


最後に会ったのは今年の4月、彼女がここに引っ越してきた時らしく、昨日は本当に単なる偶然だったと言っていた。
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