わかりきったことだけを、





「志葉、私最近気づいたことある」

「ん?」

「志葉もさ、割と無駄イケメンだよね」




頭が良いくせに語彙力は無い。

私とバカみたいな会話ばかりしていたせいで語彙力偏差値が下がっているのかもしれないけど、頭の良さを除いたら、志葉だって'無駄に顔だけが良い人'になるのではないだろうか。



「や、違う」

「え。違うかなぁ」

「俺ミステリアスとか言われてるし。あとモテる」

「自分で言うようになったら末期だよ。私と同じじゃん」

「それは不本意」

「はっはあ。似てきたね、私たち」




似てきたのか、最初から似ていたのか、そんなことは正直どちらでもいいんだけど。




「けどまあ、浅岡と付き合った時点で俺はもう変人扱いされてる」

「良いことじゃん」

「どこがだよ。あー…ほんと、なんで俺浅岡のこと好きになったんだろ」

「数学できないとことか理解力ないとことか頭悪いとことかでしょ。悪口のオンパレードね」

「なんでそんな根に持ってんだよそれ」




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