わかりきったことだけを、
屋台が並ぶ一本道を抜けた先に見える開けた場所。遠目からでもそこに人が集まっていて、さらにはそれがカップルであることは何となく分かった。
どうやらそこが花火が綺麗に見えるスポットらしい。
……花火が綺麗、かぁ。
あんなに人がたくさんいるけど、花火は空に上がるものだから関係ないのもしれない。
手を繋いで、同じ景色を見て、「来年も一緒に見ようね」っていう展開。うん、アリ。花火大会でなら許されるリアルだ。
ーーけれど、欲張りな私は、2人きりが良いと思ってしまったわけである。
「志葉」
「ん」
「あっちに、」
ーードォー……ン……
「あ」
「…始まっちゃった」
眩い光が空一面に広がった。大きく開き、後にパラパラと散っていく花火。
ああ、夏だ。