わかりきったことだけを、
「ね。はやく、キスして」
「わがままー…、」
「私のロマン、叶えられるの志葉だけだよ」
「わかってるしむしろそれ以外許さないし」
「ほー」
「…うぜー」
「酷いなぁ」
「………、ゆらの」
「…ふ、呼び捨てだ」
「……目、閉じて」
ホント最高。
だから私は大好きなんだ、志葉のこと。
「…………はなまるあげる。智咲くん」
「…どーも、」
「ね、もっかい」
「…ほんっと、欲しがり」
……欲しいのは志葉だけだけど。
心の中で呟いて、再び迫る綺麗な顔を受け入れる。
「すき、智咲くん」
「……俺も、まじで好き。しんどい」
「好きすぎて死んじゃう?」
「まあ、可能性はゼロじゃない」
照れて笑う智咲くんの顔が、次々と上がる花火が。
付き合って初めて迎えた夏の記憶に刻まれた。