わかりきったことだけを、
7.「どうやったら許してくれる?」
「志葉のばか あほ だいきらい 口悪いしツンデレだし背は高いし顔もたしかにかっこいいけどホント全然良いとこないもんね きらいだきらい もう別れる や、嘘だけど 今のは嘘だけどやっぱ別れないけどむかつくもん 私は怒ってる そう、怒ってるんだよ 志葉なんかきらい 顔だけ男 ああーーもう!ばーーーーか!!」
───と、言うのは決して本人にぶつけているわけでは無い。いやホント、流石に。
「だぁああーーーーっ、もう、」
「ばーかばーか、しばのくそーー」
「顔がいいだけ。そう。あいつは顔だけ」
夜、1人、自宅の部屋にて。
大きな独り言を言いながらベッドに寝転がってバタバタと手足を動かす。
この感情を、怒りを、どこにどうぶつけて良いのか分からなかった。
言い足りない。全然まだまだ、何なら本当に本人に言ってボコボコに……いや、ぺちって、優しくでいいから、ほっぺ叩かせてほしい。
何考えてんのホント、バカじゃないの?
や、違う。バカなんだ。
そうそう、バカなの、志葉は。
そう自分に言い聞かせる。こんな面倒な自分、そうでもしないと受け入れられないから。
すっごく、とっても、まじで、ムカつくことがあった。
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「ねえ、なんで怒ってんの浅岡」
「怒ってないけど」
「怒ってんじゃん。言わないとわかんねーよ」
「だから怒ってないってば!てか怒ってるって思うなら自分で考えてよ!」
「はぁ?」
「……もう帰る。今日はもう志葉と居たくない」
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一言で言うと、志葉と喧嘩をした。
めんどくさい女が言いそうな台詞を感情任せに言ってしまった。反省と自己嫌悪に襲われて逃げるように一人で帰ってきて、今に至る。
私がめんどくさい女になった原因は、今日行われた席替えにあった。