わかりきったことだけを、
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「浅岡、帰ろ」
「やだ」
「え、なんで」
「やだから。一人で帰る、今日は」
「いやいや、え。なんか怒ってんの?」
ーー放課後。
私がこんなに不機嫌な理由を1ミリも考えようとしてくれない志葉に余計腹が立って、私はあからさまに態度にだしてしまった。
「ねえ、なんで怒ってんの浅岡」
「怒ってないけど」
「怒ってんじゃん。言わないとわかんねーよ」
「だから怒ってないってば!てか怒ってるって思うなら自分で考えてよ!」
「はぁ?」
「……もう帰る。今日はもう志葉と居たくない」
ああもう、違うのに。
めんどくさい女になりたかったんじゃないのに。
それでも、無意識で姫宮さんに照れていたのだとしたらそれこそ許せないわけで。
志葉に触っていいのは私だけなのに。
ゴミが付いていたなら自分で取ればいいじゃん。
いや、不可抗力だったのかもしれないけど。
けど、でもさぁ、ううう、あーーーーー……。
教室内は少しざわついていて、
「浅岡さんって怒るんだ、可愛い」
「志葉くんと浅岡さんって喧嘩するんだね」
とかそんなどうでもいい声が聞こえた。
「……志葉はさ、姫宮さんと仲良くしてればいいよ」
ああ、いよいよ'めんどくさくて嫉妬深くてヒステリックな浅岡さん'が完成してしまった。
1度声に出した言葉は取り返せない。
私の言葉に、志葉は何も言い返してこなかった。