わかりきったことだけを、





「自分で考えてって言われたから、浅岡が怒ってるのなんでだろって考えた」

「……」

「んで、あー、浅岡はツンデレだったわってなった。当たってる?」

「大ハズレ。1ミリも当たってない」

「うぇ、まじで?」




なんだそれ。ていうかツンデレツンデレってうるさいし。

私はそんな可愛い言葉で収まってないと思う。自覚してる。多分、てか絶対、私めんどくさい女って思われてる。


全然分かってない。志葉は私を美化しすぎだ。

甘やかしてばっかり。私の変なノリに付き合うのもワガママを聞くのも、志葉にとっての普通とはかけ離れてるはずなんだ。




「……志葉に、私は勿体ない」






……ああ、声に出すとホント悲しい。


小さなことで嫉妬しちゃうのは自分に自信がないからなんだ。
変なところで意地っ張りで、思ってることをちゃんと伝えられていない自分が、嫌で嫌でたまらなかった。


油断したら泣いてしまいそうだ。
布団をぎゅっと引っ張って顔を隠す​─────と。




「だめ」

「っ、」

「今のナシにして浅岡。勿体ないとか言うな」



布団を握りしめていた手を掴まれ、隠すことを阻止される。熱を帯びた瞳が私を離してくれなかった。




「怒る」



……なんで志葉が怒るの。

そう言いたかったけれど、思いのほか志葉が真剣な顔をしていたから言えないんじゃないか。




「………う"ー」

「威嚇してもダメ」

「…がぁあ……」

「なんだそれ…」



掴まれた腕、2人きりの部屋、喧嘩中。
返す言葉が見つからなくて、私はわけのわからない奇声をあげることしか出来なかった。

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