わかりきったことだけを、
「浅岡」
志葉はずるいって、毎日思ってる。罪な男。良くない、ホントに。
志葉は良すぎるんだ、なにもかも。
頭脳も、人柄も、顔も、全部全部 良すぎて私には勿体ない。
大好きだからこそ自信が無い。
志葉が私のこと好きだってわかってるからこそ、可愛げのない、顔だけが無駄に良いだけの私はいつ捨てられちゃうんだろうって 時々怖くなる。
勿体ない。分かってる、分かってる。
……けど、でも。
「浅岡だけでいいんだって、俺。浅岡しか要らねーの」
私が貰うには勿体ないほどの 真っ直ぐで大きな愛を届けてくれるから、志葉はずるいよ。
「正解、出していい?」
「…何の話、」
「浅岡が不機嫌になってる理由の話」
「……だから、別に怒ってないってば、」
「俺さ、お互い様だと思うんだけど」
「……はぁ?」
お互い様?何が?どこが?
と、その疑問は直ぐに解けることになるわけで。
「花畑と仲良さげに話してたじゃん。俺知ってる」
「お花畑くん?」
「そう、その呼び方。なんか、ムカつく」
「えぇ…」
「それにあいつ絶対浅岡のこと狙ってるよ。まあ別れないけど。ざんねーん」
「いやいや…、」
「で、浅岡は姫宮にヤキモチ妬いてるんでしょ?違う?」
「……、」
「ねえ。俺ら、だんだん似てきてる」
嬉しそうに言わないで欲しい。
志葉の手が再び頬に触れた。さっきみたいに頬を潰されたーーわけではなく、撫でるようにそっと手を置いた。
「ど?当たってる?」
触れた手が熱いのは、志葉と私、どっちの熱のせいだろう。