イケメン従者とおぶた姫。
コウの話では、もしも玉を使用するには主要人物達の一部の細胞が必要らしい。

なので、ロゼは仕方なくオブシディアン、コウとタイガを連れワープを使いショウのいる場所へと戻って行った。

4人部屋であろう狭い部屋には、名だたる者達の姿も見えコウとタイガは驚きを隠せずいた。


「…何故、王様がこんな所に?それに、聖騎士団長様、副騎士団長様まで…!それに、この光の玉は?」

いつも冷静沈着なコウの驚く姿は、少し新鮮だなとハナは苦笑いしながら見ていた。


「その、もしも玉という魔道具を使用するにあたっての注意事項はあるか?」

と、聞くフウライに


「はい。もしも玉を使用する対象者は、もしも玉が起動している間、仮死状態になります。
理由は、その対象者達の魂がもしも玉の世界線に入り込む為です。
ですが、もしも玉の起動が終了すれば元に戻ります。何の影響も外傷もなく普段通りに戻る事ができるので安心安全です。」


そう、答えてから

ビー玉ほど小さかった“もしも玉”の暗号化された古代呪文だろうか?コウが、何やら長い言葉を発すると途端に“もしも玉”は、バスケットボールくらいの大きさになった。

その、もしも玉の蓋を開けると様々なボタンが付いていて、その一つを押すと“もしも玉”が古代語を喋って質問して、それにコウは古代語で答えていく。その作業をしながら、コウはフウライ達からの質問に答えていた。


「その内容は、本人達しか分からないようになっているのか?」

と、質問するハナの疑問に


「いえ。もしも玉を使用する用途は本来、試験のため。内容を試験管達が把握しなければならないので、対象者の頭上にモニターのように映像として出てそれを我々が見る事ができます。」

…プライバシーも何もないな。自分は絶対使われたくないなと、ハナは苦笑いしていた。


「この魔道具は、とても優れていて需要のない時間は省かれ必要な部分だったり重要な所だけ見せてくれます。
なので、一つのもしも玉はおおよそ2時間程度…早ければ30分で終わります。」

つまり、例えばだが
対象者にとって100年あったの出来事も、優れた魔道具により必要ないとみなされた部分は大幅にカット。需要のある部分だけ抜粋して見せてくれる優れもの。
言うなれば、ちょっとした映画の様な感覚なのかもしれない。

と、まで説明があり、ショウやサクラ、ロゼにダリアの髪の毛を一本抜き、もしも玉にセットした。

そして、仮死状態になる為、4人はそれぞれベットに横になった。

ショウは、周りに色んな人に注目されてるから妙な緊張感に襲われドキドキしている。
それを心配そうに、サクラやロゼは見ていて時折心配する声を掛けていた。

どうして、こんなに色んな人達に注目されてるのか…まるで、動物実験でもされてる気分でちょっと嫌な気持ちだ。

「夢を操れる装置が開発された。だが、年齢が高いと上手く機能しないらしい。
だから、今後の為に協力してくれないか。」と、リュウキに説得され張り切って了承したものの…こんなに見られてては落ち着かないし、恥ずかしいと思うショウだ。

4人のプライバシーをなるべく守る為、部屋にはショウ達の他に首謀者のコウ。
リュウキによって指名された、オブシディアン、フウライが残る事となった。

その中にリュウキがいないのは、穢れなき純粋無垢と決めつけ疑わない愛娘の破廉恥な姿を見たい親がどこにいるだろうか?
もしも玉の設定が設定なだけに、どうしてもリュウキには無理だったのだ。

だから、中身は要らない。最終的な結果だけを
教えろとオブシディアンに命じ、自分はやるせない気持ちでハナとルナ、タイガを引き連れプラリと外へ出て行った。


そして、コウは嬉々としてもしも玉を発動させた。すると、壁一面に映像が映し出された。

これは、本当に映画でも見てる気持ちだとオブシディアンとフウライは驚いていた。


【もしも、ショウが淫欲で悪女な女王様だったら。〜ショウの性の欲のために、無理矢理連れ去られ犠牲となった可哀想な美しい男達〜】

ーーー開幕ーーー


と、同時にビー玉サイズの魔道具“もしも玉”が

《エラー、エラー!この三人は、捕らえる事が難しく無理がある為、捕らえる内容は省き既に捕らえられ逃げられない状態という設定で強行します。》

そう警告してきた。

それに対して、コウは


「…とんでもない奴らだな。そこまでとは想定外だった。“生まれた時から奴隷だった三人”という設定にしておけば良かったか?」

など、ぶつぶつ言っていたが、そんな設定だとかなり酷い状況…体が五体満足で過ごせてるかも危うい上に、あの美貌で奴隷…そう考えればゾッとする様な悍ましい事しか思い浮かばない。

これで良かった。心から、安堵するオブシディアンとフウライであった。


ーーー再開幕ーー一


「チキショーーーーッッッ!!!?何だってんだ!!…シクった!!!」

と、世界中を旅する冒険者(主に、お宝ハンターで金を稼いでいる)の“ダリア”が、様々な伝説の魔具と伝説の鉱物と言われるヒヒイロカネやミスリルを惜しげなく使った鎖で全身グルグル巻きにされ拘束されていた。

「……えぇっ!!?何故に、我はこんな所に来なければならぬの?我、なんかしたかえ?何も悪い事なんぞしとらんと、ずぅぅ〜〜〜っと言っちょるじゃろ!
きっと、何かの間違いじゃ!もう一度、しっかりよぉ〜く調べてくれんかの?」

続いて、ダリア同様に伝説の魔具や伝説の鉱物でできた鎖に手首と腕に巻きつけられている人気の道具屋を営んでいる店主(が、何故か大魔道士・大賢者としてよく駆り出される)“ロゼ”。

「……ブッ殺ス……」

と、ロゼと同様の拘束で連れてこられたゴロツキ兼傭兵の“サクラ”は、無表情にも関わらず彼から流れ出るオーラは殺伐としていて、とても怖いし物騒な事まで言うので殺人鬼かバーサークかと思ってしまう。

「…ハ?ハァァアアッッッ⤴︎おかしくねーか!?そいつら二人は、そんななのにオレ様だけ何でこんなにグルグル巻きにされてんだよっ!!不公平じゃねーか!?差別か?ア?」

「…ピャッ!我の近くにおる二人が怖すぎるっ!!この二人が、とんでもない極悪人か分からぬが、我は至って普通の道具屋さんじゃ。
たま〜に、ダンジョンに行って売り物になりそうな物を拝借する事はあれど、ちゃんとその資格は取得しておるし違反など全然これっぽっちもしとらんちゅーに!」

「…ア“?何だ、テメー。さっきから、ピーピー、ウッセーッ!よく、ペラペラと回る口だな。」

「…な、なんじゃぁ〜…?もう、嫌じゃぁ〜〜。早よ、家に帰りたい…」

「……コロス……」

「…ピャッ!!?」


三者三様な反応ではあるが、拘束された上に一人づつ特殊な檻の中に入れられていて逃げようにも逃げられない状態であった。

いつ、捕まってしまったのか…気がついたら三人はこんな状態で、ここに連れて来られていたのだ。

いつ、どうやって、どんな風にと不思議に思うも、今置かれている自分の状況を把握しなければならない。

そして、その理由は直ぐに分かる事となる。


「女王陛下がいらっしゃいます。」

と、そういえば、自分達の入った檻に鎖を繋ぎ、それを持っているお腹がボーンと出ているでっぷりと太った男。
身なりからして、商人であろうが…あまりにセンスのないド派手な服を着ていて胡散臭い。

その男に対して、この城の兵が声を掛けた。と、同時に玉座に座る、これまたデブ〜ンと太った50代過ぎの中年女性。身なりと玉座に座ってる事と兵と商人の会話から、この国の女王ショウである事が分かった。

この国の女王は、馬鹿で無能なデブと有名であった。だが、優秀な部下が揃っているのか、不思議な事にこの国は溢れる程の宝石ができる国として有名。
それでいて貿易や商業が盛んだ。そして何より、とても豊かで平和なだった。


「これはこれは女王陛下。お久しぶりでございます。」

と、あからさまな媚びを売りペラペラと喋っていた商人が本題へ入った。

「女王陛下が喜びそうな三体の“奴隷”を連れて参りました。」

「…ドレイ?…え?ドレイっていって…」

女王ショウが、奴隷と聞き驚きサクラ達を見ると


「…奴隷って、人間なのに人間扱いされない人達の事でしょ?」

「さすが、女王陛下!その通りでございます。この者達は、世界屈指の美貌と評判の者達。その世界屈指の美貌を偉大なる女王陛下に献上したいと、ここに参った次第でございます。

もちろん、この世とは思えぬ程のこの美しき者達は奴隷でございますので、女王陛下のペットとするなりオモチャにするなりして下さい。

奴隷ですので、どんな扱いをしても構わないのですよ?どの様に痛ぶっても傷付けても、酷い拷問をしても。

そして、もぉ〜ちろんの事ですが、夜の営みの相手としても。クフフ…!」

と、言った商人に、サクラ達は心の中で

“なんて奴に捕まってしまったんだ!!”

“やばい!”

“どうする!?どうすれば!?”

“…しかし、厄介な事になった。相手は、女王だ。下手な真似はできない。”

“もし、逃げる事ができたとしても全世界に指名手配される可能性。その場で、打ち首。…拷問…最悪な事しか想定できない。”

と、三人はグルグルと頭をフル回転させ、どうすればこの最悪の状況から逃げられるか考えていた。

だが


「…本当に、こんな美しい人達が存在するなんて…」

ショウ女王は、サクラ達を見てビックリして、うっとりと見惚れ顔を真っ赤かにしていた。

そんなショウ女王の様子を見て、ダリアとロゼは“…あ…詰んだ”と、思った。

これは、自分達はこのデブのババア相手に夜の相手をさせられると絶望した。


“…い、嫌じゃぁぁ〜〜〜!!我は、まだピチピチの17才じゃ!まだ、恋人もできた事ないのに!チュウだって、まだなのに…!
このような、オババ相手にエッチな事など…ムリぃぃ〜〜〜!!!”

“…さ、最悪だ…!嘘だろ?このオレ様が、こんなクソデブの無能で有名なババア相手にゼッテー、無理!!オレ様は、エロい事より冒険してる方が性に合うし、ヤるなら結婚してからだろがっ!!!
あんのクソデブババア、ビッチかよ!しかも、親子ほど離れた相手に欲情すんのか!?…キモ過ぎんだろ!!”

“…奴隷だと?フザケルナ。隙を見て、みんな、ブッ殺して逃げてやる。”


「だけど、奴隷はイホウだよ?ダメダメ!
同じ人間なんだし、罪人でもないんでしょ?
だったら、元いた場所に帰して自由にしてあげて?」

と、いう意外な言葉が返ってきて商人は焦った。

「…ですが、これ程美しい人間は他に居ませんよ?それに、女王陛下はお相手がおらず性にお悩みな様で。ならば、この者達を女王陛下の性奴隷にしてしまえばいいではありませんか!」

なんて言われ、羞恥でショウ女王は顔を真っ赤にすると、顔を覆い隠し


「…た、確かに、そういう事でちょっと……ムラムラ…というかするけどっ!…でも!でも、無理矢理はダメなの!!
もう!あなたは、奴隷を連れてきた時点で酷い人決定だから尋問ののち牢屋行きだからね!
人間は人間なの!奴隷とか差別反対だよ!」

と、ショウ女王は顔を真っ赤にしながらプンプン怒って、サクラ達を解放する様に命令した。

それに、サクラ達はかなり驚いた様子でショウ女王を凝視していた。


…ああ、こんな人だから、この国は安泰なのか…馬鹿そうだけどと、三人は似たような事を思っていて

…なんだか…


《ピーピー!エラー、エラー!!
ショウが、どうしても三人を奴隷として受け入れない為。
三人をショウの奴隷となり、どうしても三人はショウの奴隷にならざる得ない。ショウも三人を奴隷にしなければならない事情を抱えた設定で強行します。》

…またか。と、オブシディアンとフウライは、小さくため息をつき

「…つまり、実際ではあり得ない話だという事だな。よくできているじゃないか、この魔道具。」

『そのようだ。どの世界線でもあり得ない設定だったのだろう。素晴らしい魔道具だ。』

と、二人がもしも玉を絶賛していたが、エラーが続いた為、コウはイライラしていた。


ーーー再幕ーーー


ショウの部屋に連れて来られたサクラ達は


「…えっとね。どうしても、君達を私の奴隷にしなきゃいけないんだって。そうしないと、殺されちゃうって…だから、ごめんね。」

と、ボロボロ泣きながら謝ってくるから拍子抜けだし、むしろ、自分達を守ってくれようとしていた事にすこーしだけど感謝していた。

だが、ショウ女王が馬鹿過ぎて部下達にいいように言い包められて、自分達はショウの奴隷となってしまったのだが。


「…えっと…。…う〜ん…ここの部屋を自由に使っていいし、あ!お城にいっぱい空いてる部屋があるから、好きな部屋を自分の部屋にしていいよ。お城の敷地から出たらダメだけど、敷地内だったら外に出ても大丈夫。

あと、私と一緒じゃないと無理なんだけど、街や何処か行きたい時は言ってね。連れて行ける時は連れて行くから!

君達は、私の愛玩奴隷(性奴隷)って事になってて私の所有物らしいから、酷い扱いはされないと思うよ。もし、何か嫌な事あったら言ってね。ガツンと注意するからね!

不自由させちゃう君達に、私ができる事と言ったらこれくらいなの。…役立たずで、ごめんなさい…」

と、頭の悪そうな説明をしていたが、つまり衣食住ができて外も含め城内なら自由。挙げ句、女王付きなら、何処かへ遊びに行く事だってできるのだ。

そして、始まった三人の奴隷生活。

それぞれ、気に入った部屋を与えられ、服や靴、アクセサリーなども、自分達が選んだ物を買って与えてくれる。

風呂や食事だって好きにできる。

贅沢極まりない生活で、奴隷生活というより貴族がニートしている気分だった。

だが、暇で暇でたまらない。城の大きな図書館や訓練所、たまにくる劇団鑑賞など楽しい事だらけだが、張り合いがなくただただ一日が過ぎていくだけ。

そんな日々を三ヶ月も続けた時には、三人はフラストレーションが溜まっていた。別に不満はない。むしろ、贅沢三昧で他の人から見たらとても羨ましがられるだろう。

…だが、違う!張り合いもなく、メリハリのない生活。ただただ生きているだけ。

そこで、三人は似たような事を考えていたらしく、それぞれで、それぞれ関係なく女王を観察していた。

何もかもが、危なっかしくて見てられない。頭も悪いし、よく人に騙される。我が儘で傲慢な所も多々見受けられるが、それ以上に人を思いやる心優しい人だった。
だけど、表現や言葉選びに失敗して誤解されたり、上手くいかず泣いてばかりで…つい…


「…おい…」

「大丈夫かの?」

「…あの…」

と、三人は同じ様なタイミングで、ショウ女王に声を掛けたのだった。


《ピーピー!エラー、エラー!!
ショウの悪女、傲慢設定が上手く作動しなかった為、これよりショウの悪女、傲慢設定を強めて強行します。》

…おいおい、これで何度目だよ?ショウの根本的なものや性格からして、設定に無理があり過ぎる。ますます、本人とは遠のいた偽物になっていくばかりじゃないかと、オブシディアンとフウライはウンザリしながら映像を見ていた。


ーーー再再幕ーーー


そこは女王の寝室。

「本当に、君達は綺麗でビックリしちゃう。
私ね、この56年間エッチな事した事ないの。でも、ずっとずっとエッチな事したくて城の中でエッチな事してる人がいたら覗いて見てたの。」

いきなりのショウ女王の告白。…と、いう事はその度に、思い出す度ムラムラして誰かを使い性処理をしていたのだろうか?

そう思うと誰か分からない相手をこの世から消したくなるダリア。
そんなの嫌じゃ…と、ショックを受けるロゼ。何故、自分はもっともっと早くにショウ女王と出会わなかったのかと運命を恨むサクラ。


「女王サマは、ムラムラしてる時どうしてたんですか?どうやって、ムラムラを解消なされてたんですか?やっぱり、男娼とか気に入った部下を使ってヤりまくってる感じでしょうか?」

と、ダリアが真実を突き止めたくて、ショウに鋭く突っ込んだ。

ダリアが、そんな風に聞くのも理由がある。
何故なら、城内だけでなく国中で

“無能な馬鹿女王は、誰にも振り向いてもらえない可哀想な容姿をしている。

だから、年中発情期で犠牲になる男は数知れない。とんでもない悪女だ。犠牲になる男達が悲惨過ぎる。”

と、噂があったのだ。
その真実が知りたくて聞いてみた。それが事実だろうが、ショウの奴隷となった三人には関係ないが…だけど…。


「……へっ!?そ、そんなっ…!…私が、醜いしバカだって噂はよく聞いてるから。
何回も、男娼の人にお願いしようかなとか思ったけど…勇気もなくて。それに、私が相手じゃ…可哀想かなって思ったら躊躇っちゃって…こんな年になっちゃってて…。

その事を長く一緒にいるメイドさんに相談してたら、いつの間にか君達三人が私の奴隷として連れて来られちゃって…なんか…ごめんなさい。」

そんな返答が返ってきた。

と、いう事は、年中発情期で犠牲になる男多数って噂は、デマって事。だけど、今の今までショウ女王に振り向いてくれる男はおらず…。
ショウ女王だって人間。そりゃ、ムラムラだってする。

そのムラムラの話をしていた時に、誰かに聞かれ根も歯もない噂が面白おかしく脚色され広まっていったのだろう。

それを聞いた三人は、ショウ女王が可哀想に思ったが嬉しくも感じていた。
この城に来て、既に数ヶ月は経つが自分達は名ばかりの奴隷で、実際にはとても大切にされている。

それに、ショウ女王を知れば知るほど惹かれていく自分にも気付いてたし、自分の他の二人も自分と同じ感情をショウ女王に向けてる事も分かっている。

三人は、ショウ女王の気を引きたくて必死になっている。そして、ダリアは今日という日を狙っていた。

ショウ女王を毎日観察、家臣達からの情報収集でショウ女王のスケジュールを把握していたダリア。そして、今日のショウ女王は比較的、余裕があり午後から休みの様なもの。

しかも、何か見計らったようにタイミング良く、メイドと兵が仕事の休憩中なのか、仕事を抜け出してなのか分からないが人の出入りの少ない部屋で夢中になっておセッセしてるのを目撃したショウ女王。

そして、それを釘付けになって見ていた。

これはチャンスだと思った。
このチャンスを逃せば、シャイで自己評価が低過ぎるショウ女王を誘っても“ダリアが可哀想。気持ちだけ受け取っておくね。ありがと。”で、終わりそうだ。

ショウ女王と、そういう関係になるには様々な条件が重なってようやくできるものだと思っている。

実際、何回か誘った事があるが断られている。

そして、今回とてもムラムラしていてどうしようもない気持ちを持て余しているショウ女王にアプローチを掛けたのだった。

こうして、ようやく


「…わ、私ね。とってもとっても淫乱なの!
だから、いっぱいいっぱいエッチな事して?命令だよ!」

と、淫乱なショウ女王は、三人に夜の営みを強要した。

…そう、三人である。

何故なら、ダリアがチャンスだとショウ女王の休んでる部屋へ行こうとしたら…


「…テメー…!」

「…なっ!!?ま…まさかとは思うが…なんちゅータイミングの悪さじゃぁ…」

と、ダリアと似たような事を考えていたであろう二人と、ショウ女王の部屋の前で出くわし競い合うようにしてショウのいる部屋へと入った。

入って、三人はこのチャンスを逃すまいと、あの手この手でショウを煽り

ようやく、ここまで漕ぎ着けたのだった。



「…どうしても、オレ様とシてーのか?オレ様じゃなきゃ嫌か?」

「…うん。」

「…わ、我もーーーーーっっ!!!」

ダリアがショウ女王に質問している最中、我慢できなくなったロゼは勢いよくショウ女王に抱きつき、ムチュウゥゥ〜〜〜!!と、子どもみたいなキスをしてきた。

それを見たサクラとダリアは


「「抜けがけだ!クソがッ!!」」

と、声をシンクロさせながら怒りを露わにし

「俺は、女王様の僕です。何なりとご命令下さい。」

サクラは、そう言ってショウ女王が恥ずかしくなる様なキザな口説き文句を囁き

「女王様、かぁ〜わい!我の女王様。」

ロゼは、ショウ女王に甘えて

「…クソ共がっ!この方は、オレ様だけの主だ!!テメーらにも、他の誰にも渡さねー!」

と、言ってダリアは、嫉妬からサクラとロゼを殺そうとしたが、奴隷の魔具によりそれは阻止され

仕方ないから、ダリアは本能剥き出しの野性味溢れるも、この上なく優しくショウ女王に触れ……


そこでの三人の気持ちは一緒。


【俺(我)だけを見て。俺(我)だけを愛して。】



そこまで見た所で


「…な、なんだ!?この茶番はっ!!!」

と、コウは怒りに身を任せ、もしも玉を思い切り床に叩きつけ壊した。なので、まだ続きはあった様だが、途中で強制終了となってしまった。

それには、オブシディアンとフウライはコウに感謝した。

だって、知ってる人の情事なんて複雑な気持ちになっちゃうから見たくない。

ましてや、オブシディアンなんて、ショウは赤ん坊、サクラが5才の時からずっと見守ってきたから尚更である。

…おっ始める前に終わって本当に良かった。

と、いう二人をよそに


「…こんな筈では…!!」

コウは悔しそうに、もしも玉が粉々になってもガンガンと踏み付けていた。

しかし、“もしも玉”で、この有り得ない設定を無理矢理強行して分かった事もあった。

…ダリアって、もしかして…
もしかしなくても、そういう感じ?と、ショウ以外みんなそんな感想を持った。…もちろん、ダリア本人も。

妙な事に巻き込まれはしたが、思わぬところでずっとずっと平行線だったダリアの気持ちや思いが分かったような気がする。

これで、ようやく永遠とも言える長い迷宮から抜け出す糸口が少し見えてきた気がした。


しかし、まだこれは確実な事ではなく、ダリア本人さえ混乱している状態だ。

…なにせ、これからという時に、コウの怒りによりもしも玉は破壊され中途半端で終わったのだから。

まだ、今の段階では大きく信憑性に欠ける。
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