イケメン従者とおぶた姫。
次の日の朝早くに、一行は事情聴取を終えたミミを引き取りに警察署へ来ていた。

「…で、ミミはどのような事件に巻き込まれたというのだ?」

と、部屋を案内する警官にヨウコウは心配そうに訊ねた。だが

「今はレッカ被疑者とミミ被疑者の関係者だという確認がしたいので、まずはこちらの部屋に入って下さい。話はそれからです。」

なんて、言われヨウコウ達は一抹の不安を抱えながら案内された部屋に入った。

するとそこには自分達以外にも先客がいて、その人達は物凄く険悪な感じがして何やら言い争いをしているようだ。…怖い。
部屋を間違えたんじゃないのかとヨウコウが警官に聞くも警官は間違いないと首を振った。

そこには、警官数人。そして、何故か中年の男性3人、女性3人と若い身重の女性が既に待機していた。

ヨウコウ達は、この人達は誰なんだと不思議に思いながらも異様な雰囲気に何だか声を出すのさえ躊躇われた。


「…うちのミミはそんな事なんてしないわ!何かの間違いよ!しかも、不倫だなんて!!」

「うちのミミちゃんは、とてもいい娘なんだ。見てみろ!あの天使のような可愛い姿を。あんなに可愛い娘が悪い事をする筈がないだろ。名誉毀損で訴えるぞ!」



「……貴様の息子は、一体何を考えているんだ!?身重の娘を裏切って不倫だとっ!!?
それどころか、他国の女神像を破壊したなんて!!離婚だっ!!今すぐ、娘と離婚しろ!!!」

「ホホホ!何を仰るのやら!浮気がなんなの?一回の不倫ごときで小さい男ザマスね。
そもそ〜もの問題、ワタクシのむーすこ(息子)ちゃんが浮気するって事は、あーた達(あなた達)の娘に女としての魅力がないんじゃないのか-しら?
それに、レッカの心を繋ぎ止める努力が足りなかったんじゃなくて?女なら不倫の一回くらい目を瞑るものザマスよ?」

「…はぁあっっ!!?貴女のモラルはどうなってるの!?貴女の育て方が悪いから、あんなロクでもない男になるのよ!!?」

「何だとっ!?不倫したくらいでゴチャゴチャうるさいな!不倫なんて誰だってやるだろーが。くだらない事で騒がないでほしいな。品がない。」

「そーざます、そーざます!さぁ〜すが、ワタクシの旦那様ザマス。不倫くらい誰だって…誰だって???…ん?ワタクシの聞き間違いザマスね…?
こーれだから身分の低い者達は!ワタクシの可愛いむーすこちゃんをロクでもない男だなんて品のない言葉で罵るだなんて!!
そもそも、ワタクシの大事な大事なむーすこちゃんと身分の低いこの女との結婚だって大反対だったんザマス!」

ミミの両親は、ミミを擁護。レッカの両親とレッカの妻の両親とで、お互いの息子・娘を罵り合い、レッカの妻であろう女性は信じられないとばかりに呆然としていた。


何なんだ、この状況は…?

いきなり修羅場の中に、ヨウコウ一行はポンと放り込まれ蚊帳の外である。

そして、また部屋にヨウコウとミオが知らない面々が現れた。中学生か高校生くらいの女の子と二人の男性だ。関わりは無くともこの三人の事は知っていたゴウランは、ヨウコウとミオにあの三人はレッカチームだと説明していた。

レッカチームも何が何だかよく分かっておらず、ヨウコウ一行同様に蚊帳の外状態であった。…が、いち早くユコの存在に気がついたサクラは少々強引ではあるが、自分の胸の中にショウを隠し後ろを向いた。

ヨウコウとミオは何やってるんだと怪訝そうにしていたが、オブシディアン達は事情を察しさりげなくサクラの前に立ち壁を作って置いた。

そして、レッカ夫婦両親の口論の内容を察したレッカチームだったが、そこでユコが

「…ウソっ!!レッカはウチのカレピなんだよ!?ウチの他に彼女いたって事?浮気してたの?…奥さんいるとか聞いてないんだけどっ!!」

なんて、言った事で自体は悪化する事となった。あまりに興奮し過ぎたユコは、レッカとの肉体関係を仄めかす発言をし泣き叫んでいた。

その事実に、レッカの妻は

「信じないわ。レッカに限ってそんな事はしない、証拠はあるの?
…ああ、そうね。あなたの年齢の頃は年上に憧れる子が多いものね。……そう。あなた、レッカに憧れているのね。でも、だからってレッカと恋人だとか体の関係があるとか嘘をついてはダメよ?」

と、子どもを諭すかのように大人の余裕を見せ話しかけた。それにカチンときたユコは

「レッカは、ユコのレッカだもん!あんたみたいなオバさんなんかよりウチみたいに若い子の方がいいに決まってるもん!!」

なんて、大泣きしながら足をダンダン地団駄しながら怒っていた。

ユコの言う事をレッカの関係者である大人達は大人に憧れる子供の戯言だと信じてなかったが、レッカとユコの関係を知っているゴウランとシープは複雑な気持ちでその様子を見ていた。

それと同時に、ゴウランとシープは、…あれ?ユコって、タイジュの事が好きなんじゃなかったっけ?
確か、タイジュに好き好きアピールしてたよな?と、何故、タイジュが好きなのにレッカの事でこんなにもムキになってるんだと不思議でしかたなかった。

と、いうか、その前に好きな人がいるのに別の男と関係を持ってこんなにも怒れるんだ?

まさかとは思うが、レッカは本命のタイジュと付き合うまでの繋ぎ…キープって事か?
下手すりゃ、レッカとの関係もそのままにタイジュと付き合う可能性も大きいって事だよな?

もしも自分が恋人のキープだったと知った想像をしただけで、あまりに胸糞悪いしショックも大きいに決まってる!!そう考えると

…怖っ!!エグッ!!

と、色々想像してしまって身震いしてしまった。そこで、ゴウランの脳裏にミミの姿が浮かび、ミミとユコが重なって見えブルルっと身震いした。

レッカとミミの関係者の様子を見ていたロゼは、ウゲェッとした顔をしながら

「…醜い…あまりに醜すぎる。どうしようもないクズもおったものじゃ。
浮気や不倫は誰かの犠牲と不幸の元に成り立つ悍ましい行為じゃ。
お主様は絶対にそんな事はしてはならぬぞ?絶対の絶対じゃ!」

と、ショウに話し掛けると

「ショウ様に忠告するより自分はどうなんだ?お前は絶対にショウ様を裏切らないと言えるのか?」

なんてイライラしたようにサクラは、ロゼに問いかけてきた。すると

「愚問。」

と、ロゼは当然といった笑みを浮かべ自信あり気に目を細めサクラを見た。サクラはフンっといった感じにロゼから視線を外すと


「新参者と意見が一致するのは癪ですが。
浮気や不倫は裏切りです。

浮気や不倫をしている人達はほんの軽い気持ちだったり、背徳のスリルが楽しいなど自分達だけは楽しいのでしょう。

悪い事を悪いとも思わない愚者が多いでしょう。

ですが、楽しいのは自分達だけであって、自分達の周りの人達は違います。

それは、裏切られた恋人だったり夫婦であったり親であったりと多くの人を傷つけ不幸にするだけの愚かな行為です。

その愚かな行為一つで全てを失うリスクもあるでしょう。

もしも、一般的な考えと違った事がしたければ自分のパートナーとしっかり相談、了承を得たうえで行えば間違いはありません。

人の気持ちや考え方はそれぞれ違いますから。」

と、サクラは力いっぱいに浮気、不倫はどんなに愚かな事か。人道に反しているかをしつこいくらいショウに言って聞かせた。

また、色んな人がいて色んな考えがあるから、その場合はきちんと相談しなさいという忠告つきで。

そこでお互いに納得しているのなら問題がないのだと。

まるで不倫経験者か不倫の修羅場に巻き込まれた被害者かのような喋りだ。

ショウは深くは理解できなかったが、さすがに浮気や不倫は良くない(ざっくりではあるが)って事はサクラに言われなくたって知っているとブスくれていた。

…ただいま、サクラはブスくれたショウのご機嫌取りに必死である。

それをいい事に、サクラに邪魔されないうちにロゼはショウの頭に思う存分頬をスリスリ、ペロペロしてご満悦である。

…と、まあ、ゴタゴタはあったものの


ある目撃者と調べにより、ミミとレッカの器物破損の容疑がはれ釈放される事になったのだが…

この件により、レッカとミミの不倫がばれ、かつレッカは事もあろうに小学生にまで手を出していたというオマケ付き。
レッカとレッカの妻両家の仲は真っ二つに割れ、何やら親族も巻き込んでどちらが悪いか争いが起きそうな予感がする。

もちろん、レッカと妻は離婚の危機となるだろう。だが、まだレッカの妻はこの状況に頭がついていかず混乱中のため離婚までは考えられていないようだが。時間の問題であろう。


このゴタゴタを見ていて、ヨウコウとゴウランはとても居心地が悪かった。

二人は恋人こそいないが女遊びはしている。
…いや、ゴウランはもう女遊びは卒業しているが、していた事には変わりない。

だが、その女達の中に恋人、下手をしたら既婚者が居てもおかしくないのだ。
遊ぶくらいだし、むしろ恋人がいる事によりスリルで気持ちがハイになり興奮するのかもしれない。それが癖になり、その興奮を求めやめられなくなるのだろうか?

女遊びはしても、まだ恋人のいないヨウコウとゴウランにはそこのところは分からない。

分からないが、目の前の醜い争いを見て面倒くさいと思ったと同時に恐怖も覚えた。

…一番可哀想なのって子供だよな。
これから生まれてくる赤ん坊はあの親や祖父母に囲まれて真っ当に育てるんだろうかと、そこを考えるとゾッとした。

自分はただの遊びだが、相手の女の事を考えると目の前で起きているゴタゴタは他人事ではない。明日は我が身である。

ヨウコウは思うところはあるもののそれに蓋をしそれに目を背け、自分はコイツらとは違う、自分は特別な存在なんだと自分の都合のいいように解釈するとレッカに対し、人を選べよ、浅はかだなと鼻で笑い所詮他人事としか思えなかった。

「…まったく、自分の事しか考えられない馬鹿な奴もいたもんだ。この様子だとレッカ殿には他にもたくさん不倫相手がいそうだね。」

なんて、呆れたように言うヨウコウに、ゴウランはギョッとした。

…え?

それを、あなたが言うのかと。

…まあ、知ってたけど。
改めて考えると、何だか不興な気持ちになる。実際にミミの事で裏切られたのをキッカケに、少々時間は掛かったが自分とヨウコウの関係を考え直していた。

そして、冷静に達観しながらヨウコウの行動や考えを聞いていて、こんな奴に自分の時間と労力を捧げてきたのかと思うと時間を無駄にしたとやるせ無い気持ちばかりが大きくなっていた。

だが、長い時を共にしヨウコウを間近で見てきて苦悩している事、良さも知っているので情がわき突き放す事もできず悩んでいる最中である。そもそも強制的にではあるが、ヨウコウの遊び相手(お友達役)という役職につかされているのでヨウコウから離れるという事は難しい話だ。

この先もずっと、ヨウコウの側に居続けなければならないのかと思うと…考えてしまう。

ここで、情も捨てて気持ちをスパンと切り離せたらどんなに楽か、役職を捨てヨウコウから解放されて自由になれたらどんなに…と、ゴウランは考えていた。

そんなゴウランをオブシディアンはフムと見ている。そんなオブシディアンをシープは、微妙な気持ちで見ている。

オブシディアンは俺の師匠だろ!?

何で、そんな奴を気にするんだ。もっとオレを見てよ。

と、ちょっと不愉快な気持ちになっていたのだ。


そして、いよいよミミとレッカは釈放されたのだが、関係者達の様子を見て察した警官達の配慮からミミとレッカは別々の部屋で待機させられ時間差で関係者達とあわせる事となった。

最初に出られたのはミミだ。
何故なら、レッカの関係者達は揉めに揉めて収拾がつかなくなっていたからだ。


ヨウコウ一行とミミ両親がミミを迎えに行くと、一行に気が付いたミミはシクシク泣いていて自分は濡れ衣だと訴えかけてきた。

ミミの素晴らしい迫真の演技に、ミミ両親は心打たれミミの元へ走り寄り大事な娘を抱きしめおいおい泣いていた。

「…わかってるわ!ママ達は、ミミちゃんの事信じてたわ。優しいミミちゃんがそんな事するはずないって。」

「ああ、そうだ。おかしいのは、ここの警官とあのレッカとかいう馬鹿な男の親達だ!
パパの大事なミミの事を不倫相手だのなんだのと!!純粋なミミちゃんに限ってそんな不埒な事をするはずがないのに頭がおかしいとしか思えない。」

と、ミミを擁護し、警官やレッカ達を非難していた。

「…パパ、ママ。ミミの事、信じてくれてありがとう。ミミもびっくりしちゃってぇ。
街の女神像を破壊したとか、ミミが全然会った事もない知らない男の人と不倫してるだとか…全然身に覚えのない事ばっかり言ってきて…ミミ、どうしたらいいか分からなくってぇ…凄くすっごく怖かったのぉ…!」

ミミはプルプル震えながら、無実を両親に訴えかけていた。

親子の感動の再会を見て

「…まったく!ここの警官達は何を考えているんだ。ミミをこんなにも追い詰めるなんて…可哀想に…」

ヨウコウは、可哀想なミミに心を痛めていた。

しかし、ミミを擁護する者はヨウコウとミミの両親だけであった。
その他のメンバーは、茶番だとシラけていた。

サクラに関しては無関心で、まだショウのご機嫌取りにせいを出していた。

ロゼとシープは、ある意味凄い女だ。関わったら人間不信になりそう。絶対に関わりたくない。人間怖い…と、ゾッとしていた。

ショウは

…え?ミミさん、浮気したんじゃないの?

あれ?違うの?

何がどうなってるの?

と、何が本当で嘘なのか混乱し考えても理解できなかったので考えることを放棄していた。

そんなショウにロゼは

「…あれは、しょうもない事だから考えなくともよい。」

と、ピットリとショウにくっ付いたまま言ってきた。ロゼは基本的にショウの肩の上に乗っているが体重を感じず羽根のように軽いのでショウは不思議だった。

「ロゼは、どうしてそんなに体が軽いの?」

複雑に絡み合うミミ達から興味が逸れたショウは的外れな質問をしてきた。
それにちょっと驚いたロゼだったが

「我は魔力の関係でほんの僅かばかり浮いてるゆえ体重を感じないのじゃ。」

素直に答え

「ひゃぁぁ!凄いね!本当だ、よ〜く見たらちょっとだけ浮いてる気がする!」

ショウは、ロゼが浮いてる事に驚き凄い凄いとはしゃいでいた。
そういえば、人の姿でいる時もロゼのウエーブした長い髪もヒラヒラ浮いてた事も思い出す。

「あとね、気になってたんだけど。人の姿になった時、ロゼは着替えてもないのに服を着てるよね?ロゼはいつの間に着替えてるの?どこから洋服を出してるの?」

ショウは、目をキラキラさせながら質問した。ショウに興味を向けられ、しかも褒められたロゼは気分が高揚しフフンと鼻高々にして答えた。

「なぁに、簡単な事よ。ただ、この世に存在するものを掛け合わせ自分が着たい服を想像すれば服など容易く作れるのじゃ。」

なんて、なんでもない事のように言っているが、それを聞いたサクラやオブシディアン、シープはそんな事が可能なのか?と、驚いた。

この世に存在する物を科学的に理解し服を作る原理を知り、魔導についても深く理解し、様々な魔導の融合によって初めて形成されるもの。
頭の中では、こうすれば出来るのではと何となく想像はしてみるが出来るものではない。

こんなのは想像上のもので実際にはできないと思っていた。だが、現にここに居るロゼがそれをやってのけている。しかも、容易いとまで言っていた。

…ロゼは、不可能を可能にしている。一体、どれだけの能力を持っているのか。
ロゼの能力や魔力の事を考えれば考えるほど未知数、無限大に感じ末恐ろしく感じる。

今はショウに気を許し一切そんな風には見えないが、いつ何が起きロゼが牙をむくかも分からない今、自分達はいつ爆発してもおかしくない化け物級の爆弾を抱えているのだとオブシディアンは背筋が凍り

…王様は何てものを自分達に押し付けたんだ。

オブシディアンは心の中でリュウキを恨めしく思った。

ちなみに、ロゼには自分以外の者には服を作る事への禁止令がリュウキにより出された。

ショウに気に入られたいロゼはドンドン服を作り出しショウに貢ぐ事が予想されたからだ。
なので、それを危惧したリュウキが、それでは不公平になるし旅の意味も薄れてしまうという理由からそんな命令を出した。

禁止令を出されたロゼは、ショウの説得により不満気ではあったが渋々承諾した。…と、いうよりショウ以外誰の話にも耳を傾けてくれなかったからショウに頼るしかなかったのだが。

サクラといいロゼといい有能であるが…非常に面倒くさい奴らである。


「あとね!すっごく気になってたんだけど、部屋にあったたくさんの薔薇は何本あったの?」

ショウのこの質問に、何故かロゼはピクッと反応しソッポを向き少し俯くと

「…主様の部屋に飾られた紅色の薔薇は101本。緋色の薔薇は365本じゃ。
もっと言えば、街にあった薔薇も我が咲かせとったよ。真っ黒な9本の薔薇。真っ赤な99本の薔薇。真っ白な999本の薔薇。」

と、照れ臭そうに話してきた。

「…えっ!!?外の薔薇もロゼが咲かせてたの!?すごいっ!!」

目をキラキラさせて大絶賛するショウを見て、ロゼは凄く嬉しくってシビビビっと全身を震わせつつもフフンと誇らし気だった。

「でも、いっぱいあったはずの薔薇がいつの間にか消えちゃったけどどこにいっちゃったのかなぁ?」

と、ショウの疑問にロゼはクルルル…と喉を鳴らしながら、ショウの右耳にある薔薇の形をした綺麗な宝石にキスをすると

「薔薇の色や数に意味があると知ってな。
我は自分の気持ちを余す事なくお主様に伝えたくて、薔薇を咲かせお主様を待っておったのじゃ。
お主様にプレゼントした薔薇の宝石は、お主様の為に用意した薔薇を全て集め凝縮した我の“お主様への想い・気持ち”じゃ。」

と、クルルルと喉を鳴らしショウに、この気持ちを受け止めて!意味分かってる?すき、すき、大好き!と、全身を使ってスリスリしてきた。


それを聞いたシープはアプリ携帯で、薔薇の色や本数の意味を調べ

「……げっ!?重っ!!!…えげつないほど熱烈過ぎる…」

と、愛が重過ぎるとドン引きしてしまい、共感してほしくてオブシディアンを見ると

…ドキッ!

オブシディアンは羨ましそうに少し目を細めショウを見ていた。

…え?

シープはいつも淡々としているオブシディアンの意外な一面を見て少し驚いてしまった。

そういえば、オブシディアンは男だと思っているが実際はよく分からない。

身長は自分より高いし胸もぺったんこだから男かな?とは思うが、声は男と女の声が二重に重なったような声で判断はつかない。
それに、全身包帯でグルグル巻きになっていてどんな容姿をしているのかさえ分からない。

全身火傷を負って人に見せられない姿をしていると聞いた事はあったが気になる。
あの包帯の中にはどんな姿が隠されているのか。

すっごく気になる。

今度、お風呂に誘って一緒に入って確認しようと思うシープだった。
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