イケメン従者とおぶた姫。
ハナの天幕内を確認しようと、テントの入り口を開けその隙間から覗き見ようとしたフウライであったが


…ヌンッ!


「…うわぁっ!!?」

その隙間から、ハナのドアップの顔が見えビックリしたフウライは思わず、声を上げビクゥーッと体が飛び跳ねてしまった。


「覗くなんてエッチだね〜。なんだい?オレの相手でもしてくれるってのかい?」

なんて、天幕テントのチャックの隙間から顔だけ出しニマニマとフウライを挑発してきた。

だが、それに対してフウライはフッと柔らかく笑みを浮かべると


「だから、来たんだけど?」

と、ハナの唇にむにゅりとキスをしてきた。


「……え……?」

まさかの出来事にハナの思考回路は止まった。自分の身に何が起こったのかいまいち理解できてない。

ただただ、ポカーンとしてフウライを見ている。

ハナの様子を見て、フウライは確信した。


「ねえ、ハナ先輩。中に入れてくれませんか?それとも、ここで服を脱げばいいですか?」

そう言って、おもむろに魔法衣のフードを下げると驚くほど見目麗しい顔が飛び出してきた。

そして、焦らす事もなくさっさと魔法衣を脱ぎ始めフウライの長く美しい首が惜しげも無く披露された所でハナは慌てて


「ば、バカっ!何を考えてるんだ!?
おまえをどうこうするつもりはないよ。今すぐ、服を整えろ!」

と、テント入り口のジッパーを下げ、フウライの服を整え深くフードを被せた。
フウライは自分の服を大慌てで整えてくれるハナの大きな手をギュッと掴むと


「…やっと、捕まえた。」

と、じっとハナを見上げてきた。

そうなのだ。実は、根性でハナのテントの場所を探し出し何度か押し掛けているフウライだが、

『ここを何処だと思ってるんだ。場をわきまえろ。』

と、ハナに注意されてから、確かにその通りだと反省し会いたいのを凄く我慢して今に至るのだ。それは、ハナに嫌われたくないという恋する少年心であった。

その矢先だ。あんな噂を耳にし、挙げ句自分のテントに若い女を連れ込む姿を見てしまったら居ても立っても居られなくなったのだ。


「ねえ、中に入れてくれませんか?」

自分が納得する話を聞くまで引き下がらないというフウライの姿勢に、ハナは…ハア〜と深いため息をつくとテントの中を振り返り

中にハナ以外の誰かがいるのだろう。その相手に相槌すると


「…中に入ってくれ。」

と、渋々といった感じでフウライを中に入れた。

ハナのテントの中には、性被害にあいそうになっていた少女、そして何故か上官までもがいた。

少女は分かるが、何故上官がここに?と、フウライは思っていると


「君がフウライ君だね。ハナから話は聞いてるよ。とりあえず、説明がしたい。座ってくれないか?」

と、上官はフウライに座るよう促してきた。上官に言われるがまま、フウライは礼儀正しく挨拶をするとそこに座った。


「うん。君の様子を見る限りじゃ、多分大方の予想はできてるみたいだからネタバラシするんだけど。」

上官はフウライの様子にこれは、もう隠せないなと苦笑いしてそう言ってきた。


「ハナはペナルティ参加者ではない。
ハナは、個人の適性検査、そして合宿中どうしても起こってしまいがちな暴力や強姦の類を未然に防ぐための審査官かつ警備員として、その役目を隠しチーム全体を監視している。」

そこまで聞いて、なるほどとガッテンがいった。どうしても腑に落ちなかった事がストーンと落ちてきた。


「なるほど。では、審査官が各チーム内に二人。朝と夜に手分けし参加者達を監視、審査をしているという訳ですね?」

と、推察してきたフウライに、見事に的中され驚きのあまり、思わず

「何故、審査官が各チーム内に二人いると思った?」

逆質問をしてしまった。


「はい。まずはペナルティ参加者達がいるという所から少し引っ掛かりを感じていました。
でも、罰としてありそうな話でもあったので深く考える事はしませんでしたが、他のペナルティ参加者達と明らかに違った動きをしていた人達が六名いました。
注目して見ていると、A、B、C班、それぞれ綺麗に二名づつ分けられた事からおおよその推測をする事ができました。」

その回答を聞いて、上官は雷に撃たれた気持ちになった。なんて、洞察力と推測力だろうか。

「審査官達は、自分達を本物のペナルティ参加者達の中に紛れ込ませ、その中から参加者達の実力の他に人としての本質と素質を見極め審査していると考えました。」


驚くしかない。少し喋っただけでこれだ。
理解が早く察しもいい。相当なまでに頭が切れる事が分かる。とんでもない鬼才、逸材だと上官は動揺を隠せなかった。

それを見てハナは、どうだ?凄いだろ!と、心の中でドヤッとした。立場上、そんな事を言えないのが残念だ。


「その通りだ。だが、この事は他言無用で頼む。」

「もちろんです。」

そうして、フウライと上官の会話は終わった。被害にあった少女もしっかりとうなづき、チラッと上官の顔を見て頬を染めていた。

この時、フウライは人の恋に落ちる瞬間というものを目撃した。


そして、少女の安全のために今晩は上官と一緒のテントで寝る事となったようだ。まだ、訓練生という事もあり今回は特例としてリタイアを許されたようだ。

そして、精神的ケアの為にしばらくは心理カウンセラーの元に通う事になりそうだ。


ハナのテントから上官と少女が出て行ってからが、ある意味ハナの地獄の時間となった。

あれから、しばらく時間が経つがフウライは帰る気配が全くない。


な、何故、戻らない…?

ハナはどうしたもんかと考えたが、フウライを避けている自覚があった為に罪悪感もあり早く戻ってくれ〜と気まずい気持ちで


「…そろそろ、寝ないと明日に響くぞ?」

と、フウライに声を掛けた。


「ハナ。」

フウライに名前を呼ばれただけで


「…うおっ!」

ビクッと体が飛び跳ね声まで出てしまった。
ハッとし、思わず口を塞いだところで賢いフウライにはもうバレバレの様だった。


「良かった。少しは意識してくれてるんだ。」

フウライは、ゆっくりとフードを下ろし
少しずつ服を脱ぎながら、狭いテントの中で膝をつき四つん這いでハナに近づいて来た。

四つん這いになっているせいではだけた魔法衣の隙間から、真っ白な柔っこい肌とそこに薄ピンク色の可愛らしい小さな突起がチラチラと見える。

それが、妙にエロティックに見えてしまい、見てはいけないものを見てる気がしてならない。

これは気づかないフリして見てもいいものなのか、目線を逸らしたらいいものか判断に困る。

いや、その前に
フウライが何故、魔法衣の中に服を着てないのかという疑問は、今のハナの頭には少しも浮かんでくる事はなかった。


ドクンドクン…


…うおぉ〜!

今時の小学生ってのは、こんなに色気があるのか!?

それよか、この状況どうすりゃいいんだ!?こんな経験なんて無さすぎて対処の仕方が分からんぞ!!


今まで経験した事もする予定もなかったハナ。

もしもの想定すら考えた事なんてなかった。
だから、異性に迫られるなんて万が一にも無いと思ってたのでかわし方も何も分からなかったのだ。

それに、相手は子供。繊細な心を傷付けてはいけないと慎重になればなるほど、ますます身動きが取れない。

まさかの事態に焦る事しかできない。
つまり、パニックだ。

そんなハナの心なんてお見通しだとばかりに、子供である今でしかできない事をフルに使いフウライは上半身をチラ見させる程度に残したまま、全ての下半身を曝け出し強ばるハナに覆い被さった。

狭いテントは、いい仕事をしてくれると、身動きの取れないハナを見下ろしてフウライはほくそ笑んだ。

その笑みが、何ともイタズラっぽくも艶っぽくて思わず、ハナはドキッとしてしまい…
この子は子供なのにぃ〜と、一瞬でも子供に色気を感じてしまった自分に罪悪感が芽生え複雑な気持ちに苛まれていた。

そんなハナの気持ちなんてお構いなしに


「俺はハナの事抱きたいんだけど。ハナはどっち?俺の事、抱きたい?」

「…抱きたいって…?え…?」

子供の口から出た言葉の意味を理解できなくて、ここまで迫られてるというのに
往生際が悪くもハナは、やっぱりこの状況を理解したくないって気持ちが大きくて…

やはり、ピシリと固まった。


それをいい事に、フウライは自分のせいで後ろに倒れたハナの手を取り

はだけた服の隙間からまだまだ未熟な子供のやわやわな肌に触れさせると、ハナは驚いてピクリと反応していた。


…ねえ、ハナ

ビックリしてるね

今、自分に何が起こったか分かってない顔してる…可愛い…可愛いっ!

今すぐにでもキスしちゃいたい!


そんなハナの可哀想で可愛い反応に、ゾクゾクッとフウライの加虐心がくすぐられていた。
可愛くて可愛くて、どうやって遊んじゃおうかとイタズラ心にも火がつく。

ゆっくりとハナの手を移動させ自分の胸に持ってくると、ハナの手の感触と温かさ…鍛え上げられた硬い皮膚でなんとも言えなく、電気のようなものが甘く全身をピリピリと刺激してくる。

凄く癖になりそう…全身の力が抜けてしまいそうだと初めての感覚にフウライは夢中だった。


…なに、この感覚…!?

凄い…もっと、もっと触れてほしい…

フウライは、もっともっと欲しくなって夢中でハナの手を使い自分の胸を弄った。


……ッッッ!!!?


胸の突起がハナの手で色んな方向に動くたび擦れる度に、他の肌とは違う刺激がきて堪らず小さな声が漏れてしまう。ズクリと下半身も重くなって

はあはあ…と、色っぽい息を荒げながらフウライは我慢できなくて、ついにハナの手を自分のフウライくんに触れさせると


「…分かる?俺、ハナに凄く興奮してるの。
ハナの事好きだから、こうなってるんだよ?」

と、触れさせただけなのに気持ち良くて、でも動かないハナの手がもどかしくて
動かしたい気持ちをグッと堪えてフウライはハナの耳元で、そう囁いた。
ついでに、ハナの耳にキスをしちゃったが、ハナが可愛いのが悪いとフウライは開き直っていた。

どうしよう、どうしようとパニックになっているハナに、もうちょっとだけ、ね?と、もう心の限界がきてるだろうハナの手を自分のつるつるのお尻に持ってきて


「…ハナなら、いいよ?…ここ、怖くて自分でも触った事ないけど。ハナだったらいい。
ハナにだったら俺は何されてもいい。痛くても大丈夫だから。ハナが望むなら、俺はずっと童貞のままでいい。」

と、言ってハナの指を掴みフウライの桃のキュッと閉じている蕾の中に食い込ませようとしてきた。

そこで、さすがのハナも


「ダメだ!」

と、手を引っ込め、これ以上悪さをしないようにフウライの体をギュッと抱きしめた。


「…分かった。お前の気持ちはよく分かったから落ち着いてくれ。」


トクン、トクン…


「…泣いてるの?ハナ…。かわいいね。」

「…こ、こんなの知らない…っっ!!」


フウライは、初めての感覚に戸惑う乙女を見て、“こんなの知らない”に込められた複数の感情を読み取っていた。

一つは、初めて人から好意を持たれどうしたらいいのか戸惑う心。

もう一つ。ハナは過去ハニートラップ的な何か或いは罰ゲームの標的にされた事があるのかもしれない。その時、ハナはそれを冷静に見極め上手いことスルリと回避してきたのだろう。

なのに、今。子供だと侮っていた相手に、いいように手込めにされようとしている。
いつもなら、簡単に逃げられるのに…なのに、何故?そう思っているに違いない。


馬鹿だなぁ。俺の事、甘く見くびるからそうなるんだよ

俺がどれだけハナを見てきたって思ってるの?何なら一緒に暮らした事だってあるし、俺が何の考えも無しに近づく訳ない

どうしたらハナに隙ができるか、どうすればハナの心を追い込む事ができるのか

全部、計算済みだよ

ビックリしたでしょ?

まさか、精神的に追い詰められただけで身動きできなくなるなんて。相手にいいように翻弄されるなんて


「…ねえ、ハナ。教えて?
どうして、そんなに怖がってるの?」

フウライは、ハナの頭を優しく撫で聞いた。
おそらく、パニックになり弱りきった心に大きな隙ができた今なら

ハナ自身、何故こんな事を言ってしまったんだろう。喋るつもりなんてなかったのにと驚くに違いない。


「……私は、小さい頃から恋愛事や性の対象から外れて生きてきた。誰にも、見向きもされなかったはずなのに…。それでいいって思って生きてきたのに…!
なのに、今更。こんな年になって…どうしたらいいのか分からないんだ…」

と、言った所でハナは、ハッとしどうして自分は…と狼狽え目が泳いでいる。

ハナだってれっきとした人間だ。強いばかりじゃない。どこかに自分の弱さを閉じ込め精いっぱい生きてる。

どんなに屈強な心を持ってたとしても、何処かに綻びは必ずあるものだ。


「どうして、そう思ったの?
こんなにも俺は、ハナの事が好きなのに。
気づいてた?俺にとってハナはとても魅力的で、いつもハナの事エッチな目で見てる。」

と、ハナの手をフウライのフウライくんに触れさせると、酷く驚いたようにハナは目を見開きフウライを凝視した。
そして、フウライの艶っぽい表情と小さく漏れ出す吐息に思わず顔を背けてしまった。


ドキドキドキ…!


「…凄いでしょ?これ、ハナで興奮してこうなってる。ハナだから、こんな風になってる。」

ハナは自分では気がついていない。

こんな事されて本当に嫌なら、ハナならいくら子供だとしてもフウライの事をぶっとばしているだろう。

つまりは、そういう事なんだろうとフウライは感じ取っている。まだ、断定はできないがおそらくそうだろう。


…ドクンドクンドクン!


はやる気持ちを抑えフウライは、フウライのフウライに触れる自分の手を慌てて引っ込め小さく震えるハナの様子を見ていた。


「…幼少期、私は性や暴力、犯罪に溢れる所で生まれ育った。身近で起こる暴力、侮辱行為…被害にあう幼い子供達。そりゃ、怖かった。
何がって、その後の子供達の末路がさ。体も心も蝕まれていった悲惨な姿が頭から離れない。
……いつか、自分もと思うと毎日が恐怖でどうにかなりそうだったよ。」


ハナのまさかの過去に、フウライは冷たく凍り付くような衝撃を受けた。

だから、ハナは自分が悪者になってまでも躍起になって、“自分の体を大切にしろ”“自分の身に危機感を持て”と、うるさかったのかと納得できた。


「だけど、ある日聞いちまってね。
どうやら、私には魅力がないらしくてね。私は生理的に受け付けないらしい。
それを機に、自分はそういう対象から外れた人間なんだって思って今までを生きてきたんだ。…なのに…」


どうして?と、言いたげに、戸惑った目でフウライを見てくるハナに


「…そう。怖い思いをしてきたんだね。…でも、良かった…」

「…え?」

フウライの良かったという予想外の言葉に、何が良かったのかと思わず声を出してしまったハナ。


「良かった!今まで、よく無事で…。本当に、良かった!今まで、無事でいてくれて、ありがとう!」

と、フウライは自分の表情を見られないようにハナの首筋に顔を隠し、今自分が思ってる気持ちを素直に力いっぱいに伝えた。

奇跡だとフウライは思った。

ハナの話の一部からでも分かるハナの壮絶な過去。いつ、どんな事になってもおかしくない危険と隣り合わせの場所で生まれ育ったのだろう。


こんな事で泣いてしまうような可愛くて綺麗な人が今の今まで、誰の目にも止まらず真っさらだなんて…!

信じられない!こんな素敵な奇跡は、他にあるだろうかと。

嬉しくて嬉しくて、ギュウギュウにハナを抱き締めて泣いた。

そして、お互いの気持ちがだいぶ落ち着くと、フウライは顔を上げ、ハナの顔を見下ろして聞いた。


「キスしていい?」

泣き腫らして火照ったハナの顔が可愛くて、純粋にキスしたくなったのだ。

いつもキスする時、ハナの返事なんて聞いた事なんてなかったくせに、何故か聞いてくるフウライにハナの胸のドキドキが止まらない。

多分、ハナは自分の顔が真っ赤になってる事すら気づいていないだろう。

そんなハナが、可愛くてフウライは緩む口元を引き締めるのが大変だった。


「……っ!!?だ、ダメだっ!」

「うん。」


自分の気持ちが無いのに、いいと言う訳が無いだろとハナは焦って拒否すると
意外にもあっさりとフウライは、それを受け入れハナは意表を突かれてキョトーンとしていた。


…だ、ダメだ。ハナが可愛すぎるっ!

と、フウライはきゅんきゅんする気持ちを抑え


「ハナに俺の事が好きになってもらえるように頑張るよ。キスはその時の楽しみに取っておく。」

そう言って、ふわっと笑ってみせた。


トクン、トクン、トクン…


こんな蕩けた顔で俺の事見てるから、少しは意識してくれてるんだろうけど…

と、フウライはハナの股に軽く膝を押し当て、その感触でハナが自分を性的対象として意識してるのか確かめていたが…
終始何ら変化が無かった事にちょっぴりショックを受けていた。


…色気が足りなかったかな?





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