怪盗ジャック〜月の輝く夜に〜

その刹那、白い煙が玉から出始めた。その煙を吸い込んだ警備員は眠ってしまう。ジャックは「よし！！」と笑顔を作りながら部屋の中へと入った。

「すげえな……」

その部屋の中には、所狭しと宝石や高価そうなものが並べられている。ジャックは宝石に目を奪われながら目的のものを探した。

「あった！これだ！」

そこにあったのは、ジャックが想像するより大きなダイヤモンドだった。このダイヤモンドをほしがる人は世界中にいるだろう。

「よし、バッグに何とか入った……」

重いダイヤモンドをかばんの中に入れ、ジャックは警備員が目を覚さぬうちに立ち去ろうとする。しかし、「誰だ！！」と何者かがドアを開けて入ってきた。月明かりより眩しいランプの光にジャックの目が一瞬眩む。

ジャックの目の前に現れたのは、立派なスーツを着た小太りの男性だった。葉巻きをくわえ、ジャックを睨んでいる。

「貴様、ダイヤモンドを盗みに来たのか！子どものくせに舐めた真似を……」