怪盗ジャック〜月の輝く夜に〜
男性がジャックを捕らえようと手を伸ばす。ジャックは俯き、怒りに体を震わせていた。平民たちがいるからこそ、貴族や王族は暮らしていけるのだ。

「何が悪い!!お前らのせいで平民は苦労して死んでいくんだ!!お前らの方が悪人だろ!!」

そう言い、ジャックは怒り任せに近くに置かれた宝飾の施された剣を手に取る。男性の顔が真っ青になり、何かを言っているがジャックの耳には届かない。

「死ね!!」

ジャックは剣を男性に突き刺した。男性の体が崩れ落ちると、ジャックは剣を引き抜いてまた男性の体に突き刺す。それを十数回行った。

男性は目を見開き、口から血をボタボタとこぼした。ピクピクと痙攣していた体は次第に動かなくなっていく。ジャックは人を殺してしまったのだ。

「……死んだか」

ジャックがそう呟いた時、窓から月明かりが差してきた。どうやら先ほどまで雲に月が隠されていたらしい。そして、目の前に置かれた金でできた縁の鏡にジャックの姿が映し出される。
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